log(sin x)やlog(cos x)を含む積分は、積分区間の端で関数が発散するため、通常の定積分ではなく広義積分として扱う必要があります。しかし、発散しているように見える場合でも、その発散の速さが十分に緩やかであれば積分値は有限に収束します。
この記事では、∫[0,π/2]log(sin x)dxと∫[0,π/2]log(cos x)dxが収束することを、値を求めずに示す方法を解説します。
広義積分として考える必要がある理由
まず、sin xとcos xの値に注目します。
0≦x≦π/2の範囲では、sin xはx=0で0になります。そのため、
log(sin x)
はx→0+のときlog 0に近づき、−∞へ発散します。
したがって、
∫[0,π/2]log(sin x)dx
は通常の定積分ではなく、
lim(a→0+)∫[a,π/2]log(sin x)dx
という広義積分として定義します。
同様に、cos xはx=π/2で0になるため、
∫[0,π/2]log(cos x)dx
も端点での発散を調べる必要があります。
log(sin x)の積分が収束することを示す
x=0付近での挙動を調べます。
0<x<π/2では、sin xは次の不等式を満たします。
sin x≦x
ただし、この不等式だけではlog(sin x)が下からどの程度抑えられるか分かりません。そこで、x=0付近でsin xとxがほぼ同じ大きさになることを利用します。
極限を考えると、
lim(x→0+)sin x/x=1
です。
つまり、十分小さいxでは、ある定数C>0を使って、
Cx≦sin x
と評価できます。
対数関数は単調増加なので、
log(Cx)≦log(sin x)
となります。
ここで、
log(Cx)=log C+log x
です。
したがって、sin xの対数はlog xと同じ程度の発散しかしません。
そして、
∫0^a|log x|dx
は有限値に収束します。
実際に、
∫|log x|dx=x|log x|-x
となり、x→0+でx|log x|→0となるため、端点で発散しません。
よって、
∫[0,π/2]log(sin x)dx
は収束します。
log(cos x)の積分が収束することを示す
次に、
∫[0,π/2]log(cos x)dx
を考えます。
問題となるのはcos x=0となるx=π/2付近です。
そこで、
t=π/2−x
と置き換えます。
x→π/2−のとき、t→0+となり、
cos x=cos(π/2−t)=sin t
となります。
つまり、
log(cos x)=log(sin t)
となり、先ほど調べたlog(sin x)の場合と同じ形になります。
したがって、π/2付近での発散もlog t程度であり、
∫0^a|log t|dt
が有限であることから、
∫[0,π/2]log(cos x)dx
も収束します。
なぜlogの発散は積分では問題にならないのか
log xはx→0で−∞に発散します。そのため、一見すると積分も発散しそうに感じます。
しかし、発散の速さが重要です。例えば1/xのような関数は、
∫0^a1/x dx
が無限大になるため積分は発散します。
一方でlog xの発散は非常にゆっくりであり、面積として見ると有限になります。
これは、無限大になる高さがあっても、その広がり方が十分小さければ全体の面積は有限になるという考え方です。
まとめ
∫[0,π/2]log(sin x)dxと∫[0,π/2]log(cos x)dxは、端点でlog 0に近づくため広義積分として考える必要があります。
しかし、sin xやcos xの端点付近での挙動はxやπ/2−xと同程度であり、問題となる部分はlog x型の発散になります。
そして、log xはx=0付近で発散するものの、∫0^a|log x|dxが有限であるため積分は収束します。
したがって、どちらの積分も値を計算しなくても、端点での発散の程度を評価することで収束することが示せます。


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