大学受験や大学数学では、一見すると解き方が分からない積分に出会うことがあります。しかし、多くの場合は「部分積分」「漸化式」「置換積分」などの基本技法を組み合わせることで整理できます。ここでは代表的な4つの積分について、解答そのものよりも『なぜその方法を使うのか』を重視して解説します。
(1) ∫(1/x+logx)e^x dx の考え方
まず被積分関数をよく見ると、(1/x+logx) は logx の微分と深く関係しています。
実際に、f(x)=e^xlogx と置くと
f'(x)=e^xlogx+e^x/x=e^x(1/x+logx)
となります。
つまり積分したい関数は、ちょうど e^xlogx の導関数です。
| 積分 | 結果 |
|---|---|
| ∫(1/x+logx)e^xdx | e^xlogx+C |
ポイント:積分の前に「何かの微分になっていないか」を確認すると一瞬で解ける場合があります。
(2) ∫dx/(x^4+1)^n の考え方
この積分は一般の n に対して初等関数で簡単な形になるわけではありません。
まず x^4+1 を因数分解すると
x^4+1=(x^2+√2x+1)(x^2-√2x+1)
となります。
n=1 の場合は部分分数分解によって対数関数や逆正接関数に帰着できます。
一般の n については、積分の漸化式を作る方法や特殊関数を用いる方法が知られています。
大学入試で出題される場合は、通常 n=1 や n=2 など具体的な値が与えられることが多いです。
(3) ∫cosec^n x dx の考え方
cosec x は 1/sin x を表します。
この積分では漸化式を利用するのが標準的な解法です。
In=∫cosec^n x dx と置いて部分積分を行うと、次の漸化式が得られます。
In=-(cosec^(n-2)x cotx)/(n-1)+(n-2)/(n-1)In-2
この関係を繰り返し使うことで、最終的に I1 または I2 まで次数を下げることができます。
| 基本積分 | 結果 |
|---|---|
| ∫cosecx dx | log|tan(x/2)|+C |
| ∫cosec²x dx | -cotx+C |
高次の三角関数積分では『次数を下げる』発想が重要です。
(4) ∫[0,1](arcsin x)^n dx の考え方
逆三角関数が含まれているため、まず x=sin t と置換するのが自然です。
x=sin t とすると dx=cos t dt であり、積分区間は
x=0→t=0、x=1→t=π/2
となります。
したがって
∫[0,1](arcsinx)^ndx=∫[0,π/2]t^n cost dt
となります。
ここから部分積分を行うと
Jn=∫[0,π/2]t^n cost dt
に関する漸化式が得られます。
具体例として n=1 の場合は
∫[0,π/2]t cost dt=[t sint+cost]0→π/2
=π/2-1
となります。
n が大きい場合も同様に部分積分を繰り返して処理できます。
積分問題を解くときの着眼点
難しい積分ほど、いきなり計算を始めるのではなく構造を観察することが重要です。
- 導関数の形が隠れていないか
- 置換積分が使えないか
- 部分積分で簡単にならないか
- 漸化式が作れないか
- 因数分解できないか
今回の4問も、それぞれ異なる積分技法の典型例になっています。
まとめ
(1)は e^xlogx の導関数を見抜く問題です。
(2)は因数分解や部分分数分解、さらに漸化式へ発展するタイプです。
(3)は cosec の冪積分に対する漸化式を利用します。
(4)は x=sin t の置換後に部分積分を行うのが基本方針です。
積分は公式暗記だけでなく、『どの技法を選ぶべきか』を判断する練習が最も重要です。問題を見た瞬間に計算を始めるのではなく、まず構造を分析する習慣を身につけましょう。


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