電力の送電では、変圧器を使うことで電線の抵抗によるロスを小さくできます。しかし、V=IRとVI=一定、さらにI^2Rの電力損失という式を組み合わせると矛盾して見えることがあります。この記事では、交流送電と変圧器の仕組みを整理し、なぜ昇圧すると送電ロスが減るのかをわかりやすく解説します。
交流送電と変圧器の基本原理
交流電源では電圧が周期的に変化するため、変圧器を使うことで簡単に電圧を上げ下げできます。変圧器の基本式は
V_s / V_p = N_s / N_p
であり、電圧比は巻線比に比例します。巻線比を大きくすると電圧が上がり、巻線比を小さくすると電圧が下がります。
送電ロスと電流の関係
送電線の抵抗をRとすると、線路で発生する損失は
P_loss = I^2 R
で表されます。電力P=VIを送るとき、電圧を高くすると電流Iは小さくなります。例えば1000Wを100Vで送る場合I=10Aですが、10,000Vで送ればI=0.1Aになり、損失は0.01%に減ります。これが送電ロスが減る原理です。
V=IRとの関係を整理する
混乱しやすいのはV=IRとVI=一定を同時に考える場合です。V=IRは線路や抵抗にかかる瞬間の電圧と電流の関係、VI=一定は消費側の電力一定の話です。送電では電圧を上げることで電流を下げ、I^2Rのロスを小さくしているので矛盾はありません。
実効値と交流の考え方
交流電圧は実効値で考えます。実効値が上がると電流は比例して下がります。Rは線路抵抗なので、I^2Rで計算した損失が小さくなるわけです。ここでV=IRを持ち出して「電流が増える」と考えるのは、消費側での負荷電圧を想定しているため混乱のもとです。
まとめ
・変圧器を使うと電圧を上げられるので、送電電流は減少する。
・送電線の損失はI^2Rで決まるため、電流を下げると損失が減る。
・V=IRは局所的な電圧と電流の関係、VI=一定は消費側電力の関係で、矛盾ではない。
これにより、変圧器で高圧送電を行うことで長距離送電のロスを抑えられる理由が理解できます。


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