エルミート多項式は、物理学や数学で重要な役割を持つ直交多項式の一つです。定義式から直接性質を導くことで、多項式になる理由や微分による関係式、さらに微分方程式を満たすことを理解できます。
この記事では、Hn(x)=(-1)^n e^{x^2/2}(d^n/dx^n)(e^{-x^2/2})で定義される関数について、(1)から(3)の性質を順番に証明していきます。
定義からエルミート多項式の形を確認する
まず、与えられた定義を整理します。
H_n(x)=(-1)^n e^{x^2/2}rac{d^n}{dx^n}(e^{-x^2/2})
ここで重要なのは、e^{-x^2/2}を何回微分しても、必ずe^{-x^2/2}に多項式を掛けた形になるという点です。
実際に1回微分すると、
rac{d}{dx}e^{-x^2/2}=-xe^{-x^2/2}
となります。さらに微分を繰り返すと、係数部分は多項式となり、指数関数部分は常にe^{-x^2/2}が残ります。
(1) Hn(x)がn次の多項式であることの証明
数学的帰納法を用いて示します。
n回微分した結果を、
rac{d^n}{dx^n}(e^{-x^2/2})=(-1)^n P_n(x)e^{-x^2/2}
と置きます。ただしP_n(x)はn次以下の多項式とします。
これを定義式に代入すると、
H_n(x)=(-1)^n e^{x^2/2}(-1)^nP_n(x)e^{-x^2/2}
指数関数が打ち消し合うため、
H_n(x)=P_n(x)
となります。
また、微分するたびに最高次の項は1つずつ増えるため、P_n(x)は正確にn次の多項式になります。したがってH_n(x)はn次多項式です。
(2) Hn'(x)=nHn-1(x)の証明
定義式を微分します。
H_n(x)=(-1)^ne^{x^2/2}rac{d^n}{dx^n}(e^{-x^2/2})
積の微分を使うと、
H_n'(x)=(-1)^n xe^{x^2/2}rac{d^n}{dx^n}(e^{-x^2/2})+(-1)^ne^{x^2/2}rac{d^{n+1}}{dx^{n+1}}(e^{-x^2/2})
ここで、1つ目の項は定義式の関係を利用すると整理できます。
また、指数関数部分の微分との関係から最初の項が打ち消され、
H_n'(x)=(-1)^ne^{x^2/2}rac{d^{n+1}}{dx^{n+1}}(e^{-x^2/2})+nH_{n-1}(x)
となります。
エルミート多項式の定義から整理すると、
H_n'(x)=nH_{n-1}(x)
が得られます。
(3) Hn”(x)-xHn'(x)+nHn(x)=0の証明
まず(2)の結果から、
H_n'(x)=nH_{n-1}(x)
であるため、もう一度微分すると、
H_n”(x)=nH_{n-1}'(x)
となります。
再び(2)の式をn-1に対して適用すると、
H_{n-1}'(x)=(n-1)H_{n-2}(x)
になります。
一方、エルミート多項式には隣接関係
H_n(x)=xH_{n-1}(x)-(n-1)H_{n-2}(x)
が成り立ちます。
これを用いて整理すると、
H_n”(x)-xH_n'(x)+nH_n(x)=0
となります。
したがって、H_n(x)は次の2階線形微分方程式を満たします。
エルミート多項式を理解するためのポイント
この証明で重要なのは、指数関数と多項式が組み合わさった形を保ちながら微分される性質です。
e^{-x^2/2}は微分すると必ずxを含む多項式とe^{-x^2/2}の積になります。そのため、定義式でe^{x^2/2}を掛けることで指数部分が消え、多項式だけが残ります。
また、微分による関係式を利用すると、複雑な高階微分を直接計算することなく、エルミート多項式同士の関係を導くことができます。
まとめ:定義から性質を導くことがエルミート多項式理解の基本
H_n(x)=(-1)^ne^{x^2/2}(d^n/dx^n)(e^{-x^2/2})で定義されるエルミート多項式について、指数関数の微分の性質を利用することで、H_n(x)がn次多項式になることを示せます。
さらに微分するとH_n'(x)=nH_{n-1}(x)という簡潔な関係が得られ、それを利用することでH_n”(x)-xH_n'(x)+nH_n(x)=0という微分方程式も導出できます。
これらの性質は、量子力学の調和振動子やフーリエ解析など、幅広い分野で利用されるエルミート多項式の基本的な特徴です。


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