チェビシェフ多項式は、近似理論や数値解析などで重要な役割を持つ直交多項式です。cosθ=xを用いて定義されるT_n(x)、U_n(x)について、多項式になることや満たす微分方程式を証明するには、三角関数の公式と微分の関係を利用します。
この記事では、T_n(x)=cos(nθ)、U_n(x)=sin((n+1)θ)/sinθとして定義された関数について、(1) n次多項式であること、(2) T_n(x)が満たす微分方程式、(3) U_n(x)が満たす微分方程式を順番に説明します。
チェビシェフ多項式の定義と基本的な考え方
まず、x=cosθとおきます。
T_n(x)=cos(nθ)
U_n(x)=rac{sin((n+1)θ)}{sinθ}
という形で定義されています。
ここで重要なのは、cos(nθ)やsin((n+1)θ)を加法定理によって展開すると、cosθだけを使った式に変換できることです。
例えば、
cos2θ=2cos²θ-1
なので、x=cosθとすると、
T_2(x)=2x²-1
となり、xの多項式になります。
この性質を一般化することで、T_n(x)、U_n(x)が多項式であることを示せます。
(1) Tn(x)、Un(x)がn次の多項式であることの証明
まずT_n(x)について考えます。
三角関数の加法定理より、
cos((n+1)θ)+cos((n-1)θ)=2cosθcos(nθ)
が成立します。
x=cosθなので、
T_{n+1}(x)=2xT_n(x)-T_{n-1}(x)
という漸化式が得られます。
初期値は、
T_0(x)=1、T_1(x)=x
です。
この漸化式を見ると、T_{n+1}(x)はT_n(x)にxを掛けたものから作られるため、次数は1つずつ増加します。
したがって、T_n(x)はn次の多項式になります。
次にU_n(x)について考えます。
三角関数の公式から、
sin((n+2)θ)+sin(nθ)=2cosθsin((n+1)θ)
が成り立ちます。
両辺をsinθで割ると、
U_{n+1}(x)=2xU_n(x)-U_{n-1}(x)
を得ます。
初期値は、
U_0(x)=1、U_1(x)=2x
です。
よって同様に次数が1つずつ増えるため、U_n(x)もn次の多項式になります。
(2) Tn(x)が満たす微分方程式の証明
T_n(x)=cos(nθ)、x=cosθとして考えます。
まずxをθで微分すると、
rac{dx}{dθ}=-sinθ
です。
したがって、
rac{d}{dx}=-rac{1}{sinθ}rac{d}{dθ}
となります。
T_n(x)=cos(nθ)をθで微分すると、
rac{dT_n}{dθ}=-nsin(nθ)
です。
よって、
T_n'(x)=rac{nsin(nθ)}{sinθ}
となります。
さらにもう一度xで微分すると、
T_n”(x)=rac{n^2cos(nθ)}{sin^2θ}-rac{ncosθsin(nθ)}{sin^3θ}
となります。
ここで、sin²θ=1-cos²θ=1-x²を利用して整理すると、
(1-x²)T_n”(x)-xT_n'(x)+n²T_n(x)=0
が得られます。
(3) Un(x)が満たす微分方程式の証明
U_n(x)は、
U_n(x)=rac{sin((n+1)θ)}{sinθ}
で定義されています。
ここで、y=U_n(x)とおきます。
三角関数の微分関係と、
rac{d}{dx}=-rac{1}{sinθ}rac{d}{dθ}
を利用して計算します。
θについて微分すると、
y=rac{sin((n+1)θ)}{sinθ}
より、商の微分法を使って、
rac{dy}{dθ}=rac{(n+1)cos((n+1)θ)sinθ-cosθsin((n+1)θ)}{sin²θ}
となります。
さらにxによる微分へ変換し、整理すると、
(1-x²)U_n”(x)-3xU_n'(x)+n(n+2)U_n(x)=0
が得られます。
この式は第二種チェビシェフ多項式が満たす代表的な微分方程式です。
チェビシェフ多項式の証明で重要なポイント
今回の証明では、x=cosθという置換が中心的な役割を果たしています。
通常の多項式として直接扱うと複雑ですが、三角関数の性質を利用すると、漸化式や微分方程式が自然に導かれます。
特に、
T_{n+1}(x)=2xT_n(x)-T_{n-1}(x)
という関係は、チェビシェフ多項式を扱う上で最も基本的な式の一つです。
この漸化式によって、高次数の多項式を直接展開せずに計算できます。
まとめ:三角関数の性質からチェビシェフ多項式の特徴を導く
T_n(x)=cos(nθ)、U_n(x)=sin((n+1)θ)/sinθという定義から、加法定理と微分変換を利用することで、両者がn次多項式になることを証明できます。
さらに、T_n(x)は(1-x²)T_n”-xT_n’+n²T_n=0を、U_n(x)は(1-x²)U_n”-3xU_n’+n(n+2)U_n=0を満たします。
これらの性質は、数値計算や関数近似などでチェビシェフ多項式を利用する際の基本となる重要な結果です。


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