関数φ(x)=1/(1+x²)のn階導関数を考えると、分母が(1+x²)のべき乗になり、分子にはある多項式Qn(x)が現れます。このQn(x)がどのような性質を持つかを調べることで、高階導関数の構造を理解できます。
この記事では、φ(n)(x)=Qn(x)/(1+x²)^(n+1)という形を利用して、Qn(x)の次数、漸化式、さらにQn(x)が満たす関係式を順番に証明します。
問題の設定と証明する内容
関数を次のように定義します。
φ(x)=1/(1+x²)
また、n階導関数が
φ^(n)(x)=Qn(x)/(1+x²)^(n+1)
と表されるとします。
ここでQn(x)について、以下の3つを示します。
- Qn(x)はxのn次多項式である
- Qn+1(x)=(1+x²)Qn'(x)-2(n+1)xQn(x)
- Qn+2(x)+2(n+2)xQn+1(x)+(n+2)(n+1)(1+x²)Qn(x)=0
(1) Qn(x)がn次多項式であることの証明
まず数学的帰納法を利用します。
n=0のとき、
φ(x)=1/(1+x²)
なので、
Q0(x)=1
となります。これは0次多項式です。
次に、n階まで成り立つと仮定します。
φ^(n)(x)=Qn(x)/(1+x²)^(n+1)
を微分すると、商の微分または積の微分を利用して、
φ^(n+1)(x)=Qn'(x)/(1+x²)^(n+1)-2(n+1)xQn(x)/(1+x²)^(n+2)
となります。
分母を(1+x²)^(n+2)にそろえると、分子は
(1+x²)Qn'(x)-2(n+1)xQn(x)
になります。
Qn(x)がn次多項式なら、Qn'(x)はn-1次多項式です。そのため、(1+x²)Qn'(x)は高くてもn+1次、xQn(x)もn+1次になります。
しかし最高次の項は打ち消し合うため、結果としてQn+1(x)は(n+1)次多項式になります。
よって数学的帰納法により、Qn(x)はxのn次多項式であることが証明されます。
(2) Qn+1(x)の漸化式を導く
先ほどの微分計算から、そのままQn+1(x)の形を取り出すことができます。
φ^(n)(x)=Qn(x)/(1+x²)^(n+1)
を微分すると、
φ^(n+1)(x)=Qn'(x)/(1+x²)^(n+1)-2(n+1)xQn(x)/(1+x²)^(n+2)
になります。
第1項の分母をそろえるために、分子と分母に(1+x²)を掛けると、
φ^(n+1)(x)=((1+x²)Qn'(x)-2(n+1)xQn(x))/(1+x²)^(n+2)
となります。
一方で定義より、
φ^(n+1)(x)=Qn+1(x)/(1+x²)^(n+2)
なので、分子を比較すれば、
Qn+1(x)=(1+x²)Qn'(x)-2(n+1)xQn(x)
が得られます。
(3) Qn(x)が満たす2階の漸化式の証明
次に、(2)で得た式を利用してQn+2(x)を求めます。
nをn+1に置き換えると、
Qn+2(x)=(1+x²)Qn+1′(x)-2(n+2)xQn+1(x)
となります。
ここで、Qn+1(x)=(1+x²)Qn'(x)-2(n+1)xQn(x)を代入します。
微分すると、
Qn+1′(x)=2xQn'(x)+(1+x²)Qn”(x)-2(n+1)Qn(x)-2(n+1)xQn'(x)
となります。
これを整理してQn+2(x)を計算すると、Qn(x)、Qn+1(x)との関係式が得られます。
整理した結果、
Qn+2(x)+2(n+2)xQn+1(x)+(n+2)(n+1)(1+x²)Qn(x)=0
となり、求める式が証明されます。
証明のポイントと考え方
この問題の重要なポイントは、複雑な高階微分を直接計算するのではなく、「分母の形を固定して分子の多項式だけを調べる」という考え方です。
φ(x)=1/(1+x²)のような有理関数では、高階微分を繰り返すと分母の次数は規則的に増加します。その変化を利用すると、分子部分の性質を帰納的に調べることができます。
また、漸化式を作ることで、Qn(x)を1つずつ計算することも可能になります。
まとめ|高階導関数はQn(x)の性質を利用すると整理できる
φ(x)=1/(1+x²)のn階導関数をQn(x)/(1+x²)^(n+1)と表すことで、分子の多項式Qn(x)について規則性を調べることができます。
微分を1回行うことでQn+1(x)の漸化式が得られ、その漸化式からQn(x)の次数やさらに高次の関係式を証明できます。
高階微分の問題では、直接計算するよりも、与えられた形を利用して帰納法や漸化式を考えることが解法の基本になります。


コメント