高校数学では「n次方程式は重解を含めてちょうどn個の解をもつ」と学びます。しかし、教科書で扱う方程式の多くは実数係数であり、係数に虚数が含まれる場合でも同じことが成り立つのか疑問に思う人も少なくありません。この記事では、複素数係数のn次方程式と解の個数の関係について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
n次方程式の解がn個になる理由
結論から言うと、係数に虚数が含まれていても、n次方程式は複素数の範囲で重解を含めてちょうどn個の解をもちます。
これは「代数学の基本定理」と呼ばれる重要な定理によって保証されています。
係数が実数か複素数かではなく、解を複素数まで認めることがポイントです。
代数学の基本定理とは
代数学の基本定理とは、「定数でない複素数係数の多項式は少なくとも1つの複素数解をもつ」という定理です。
この結果を繰り返し利用すると、n次方程式は一次式の積に分解できることがわかります。
つまり、n次方程式は次のような形になります。
(x-a₁)(x-a₂)…(x-aₙ)=0
ここでa₁~aₙは複素数であり、重解があれば同じ値が繰り返し現れます。
係数に虚数が含まれる具体例
例えば次の2次方程式を考えます。
x²-(1+i)x+i=0
この式は因数分解すると、
(x-1)(x-i)=0
となります。
したがって解はx=1、x=iの2個です。
係数に虚数iが含まれていますが、次数と同じ2個の解をもっています。
実数係数の場合との違い
実数係数の方程式では、非実数解が現れるときは共役複素数の組になります。
例えばx²+1=0の解はx=i、x=-iです。
しかし係数に虚数が含まれる場合、この性質は必ずしも成り立ちません。
先ほどの例のように、解が1とiになることもあります。
| 係数 | 共役複素数の性質 |
|---|---|
| 実数係数 | 必ず成り立つ |
| 複素数係数 | 必ずしも成り立たない |
重解がある場合も解の個数はn個
解の個数を数えるときは重解も回数分だけ数えます。
例えば(x-i)³=0なら、解はx=iのみですが3重解です。
この場合、異なる解は1個ですが、重複度まで考慮すると解は3個あると数えます。
したがって3次方程式としての条件を満たしています。
まとめ
n次方程式の係数に虚数が含まれていても、複素数の範囲で考える限り、重解を含めて解はちょうどn個存在します。これは代数学の基本定理によるものであり、実数係数か複素数係数かは関係ありません。ただし、実数係数の場合に成り立つ「複素数解は共役な組で現れる」という性質は、複素数係数では必ずしも成り立たない点に注意しましょう。


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