リーマン幾何学では、ある点において正規座標系(normal coordinates)を取ると、計量テンソルの一階偏微分とレヴィ・チヴィタ接続係数(Christoffel symbols)がゼロになることが知られています。これは接続の対称性と座標の取り方から導かれる基本的な性質です。
正規座標系の定義
正規座標系とは、点 p を原点とし、その点から放射状に geodesic が伸びるように座標をとった座標系です。このとき、点 p では座標軸方向の geodesic 上の距離が座標値と一致します。
この座標系では、p における接続の成分がゼロになるように設計されています。
レヴィ・チヴィタ接続と計量テンソル
レヴィ・チヴィタ接続係数は次の式で表されます。
Γ^k_ij = 1/2 g^kl (∂_i g_jl + ∂_j g_il – ∂_l g_ij)
ここで g_ij は計量テンソル、g^kl はその逆行列、∂_i は座標 i に関する偏微分です。
正規座標系で Γ=0 となる理由
正規座標系では、点 p において geodesic 上の座標軸が直交し、接線ベクトルが単位長になるように調整されます。
このとき、p における計量テンソル g_ij は g_ij(p) = δ_ij となり、座標方向に変化がないため一階偏微分 ∂_k g_ij(p) = 0 となります。
Γ^k_ij の式に代入すると、すべての項がゼロになるので、Γ^k_ij(p) = 0 が成立します。
証明の流れのまとめ
- 点 p を原点とする正規座標系を選ぶ。
- この座標系では g_ij(p) = δ_ij(単位行列)となる。
- さらに geodesic に沿った座標で計量の一階偏微分がゼロになる。
- レヴィ・チヴィタ接続係数 Γ^k_ij は一階偏微分から定義されるので、Γ^k_ij(p) = 0 が成立。
参考文献
- Do Carmo, M. P., Riemannian Geometry, Birkhäuser, 1992.
- Lee, J. M., Riemannian Manifolds: An Introduction to Curvature, Springer, 1997.
- Spivak, M., A Comprehensive Introduction to Differential Geometry, Vol. 1, Publish or Perish, 1999.
これらのテキストには、正規座標系における Γ=0 の証明や幾何的な直感が詳しく解説されています。


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