ネックレスや数珠の並べ方の問題では、単純な順列とは違い「回転して同じになるもの」や「裏返して同じになるもの」を区別しません。そのため、普通に並べ方を数えてから割り算するだけでは正しく求められない場合があります。
このような問題を体系的に扱う方法が群論です。群論というと難しく感じますが、数珠順列では「対称な動きをまとめて数える道具」と考えると理解しやすくなります。
この記事では、群論の基本的な考え方から始めて、赤玉2個・青玉2個・黄玉4個の8個の玉で作るネックレスの数を求める方法を、初心者向けに解説します。
数珠順列で群論を使う理由
まず、普通の円順列では回転したものを同じものとして扱います。例えば、赤・青・黄・赤という並びを少し回転させたものは、見た目が同じネックレスになります。
さらに数珠の場合は裏返しも同じになります。表から見た順番と裏から見た順番が一致する場合があるため、単純に円順列の公式を使うだけでは対応できません。
群論では、このような「同じものとして扱う変化」を操作として考えます。ネックレスの場合、操作とは具体的には回転と反転です。
群論の基本:操作を集めたものが群
群論を簡単に説明すると、「ある対象に対して行える操作の集まり」を研究する数学です。
例えば正方形を考えると、90度回転、180度回転、270度回転、裏返しなど、形を変えずに重ね合わせられる操作があります。これらの操作全体を群と呼びます。
ネックレスの場合は、8個の位置があります。その位置を動かす操作として、8通りの回転と8通りの反転があります。
つまり全部で16個の操作があります。この16個の操作の集合は「二面体群」と呼ばれる群になります。
バーンサイドの補題で数える
群論を使った数え方の中心になるのがバーンサイドの補題です。
バーンサイドの補題は簡単に言うと、「操作によって変化しない配置の平均を取る」という考え方です。
式で書くと、異なる配置の数は次のようになります。
(各操作で変化しない配置数の合計)÷(操作の数)
つまり、16種類の回転・反転操作について、それぞれの操作で動かしても変わらない玉の配置を数え、それを平均します。
赤2個・青2個・黄4個の場合を計算する
玉の種類を、赤をR、青をB、黄をYとします。合計8個なので、すべての位置に玉を置く方法を考えます。
まず恒等操作(何もしない操作)では、すべての配置がそのまま残ります。
配置数は、同じ色の玉があることに注意して、
8!÷(2!×2!×4!)=420
となります。
次に回転について考えます。
1マス回転・3マス回転・5マス回転・7マス回転
これらの回転では、8個の位置がすべて一つの輪になります。そのため、すべて同じ色でなければ固定されません。
しかし今回は赤2個、青2個、黄4個なので条件を満たさず、固定される配置は0個です。
2マス回転・6マス回転
2マスずつ動かす回転では、位置が4個ずつのグループに分かれます。
各グループ内は同じ色でなければならないため、赤2個や青2個を配置できず、固定配置は0個です。
4マス回転
4マス回転では、向かい合う2つの位置が同じ色になります。
つまり4組のペアができ、それぞれ同じ色でなければいけません。
しかし赤2個、青2個、黄4個なので、赤1組、青1組、黄2組として配置できます。
ペア4組への配置方法は、
4!÷(1!×1!×2!)=12
となります。
反転操作で固定される配置を考える
次に裏返しの操作を考えます。8個の位置を持つネックレスでは、反転には2種類あります。
1つ目は、2つの玉の間を軸にして裏返す場合です。この場合、4組の位置が入れ替わります。
固定されるためには、入れ替わる2つの位置が同じ色である必要があります。
4組のペアに赤1組、青1組、黄2組を割り当てるので、
4!÷(1!×1!×2!)=12
となります。
2つ目は、向かい合う玉を通る軸で反転する場合です。この場合、2つの玉はそのまま残り、3組のペアができます。
この条件で数えると、固定される配置は36個になります。
バーンサイドの補題による最終計算
固定配置数をまとめると以下のようになります。
| 操作 | 固定される配置数 |
|---|---|
| 恒等操作 | 420 |
| 回転(4マス) | 12 |
| その他の回転 | 0 |
| 反転操作 | 合計96 |
したがって固定配置数の合計は
420+12+96=528
操作の数は16なので、
528÷16=33
となります。
よって、赤玉2個、青玉2個、黄玉4個で作る数珠順列は33通りです。
赤x個・青y個・黄z個の場合の一般的な考え方
赤x個、青y個、黄z個の場合も、基本的な考え方は同じです。
ただし、一般式を簡単な形で書くには、回転や反転によってできる周期構造を調べる必要があります。
回転だけを考える場合は、ポリアの定理を使うことで一般的に求めることができます。さらに裏返しを含む数珠順列では、二面体群に対するポリアの定理を利用します。
一般的には、
「各対称操作で変化しない色配置を数える → その平均を取る」
という流れになります。
まとめ|群論は数珠順列を整理して数えるための道具
群論は難しい抽象数学に見えますが、数珠順列では「回転や反転という操作をまとめて扱う方法」と考えると理解しやすくなります。
赤2個・青2個・黄4個のネックレスでは、16種類の対称操作について固定される配置を調べ、バーンサイドの補題を使うことで33通りという答えが得られます。
より一般的な色数や個数の場合も、ポリアの定理や二面体群を使えば体系的に解くことができます。群論は、単なる計算方法ではなく「同じものを正しく数えるための考え方」なのです。


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