高校数学では、整数解を持つ方程式を利用して図形や数論の性質を考える問題が出題されることがあります。特に x²−2y²=1 のような方程式は、ペル方程式と呼ばれる代表的な整数問題であり、格子点や面積、不等式的な性質まで発展させることができます。この記事では、この問題で使われる考え方を整理し、解法の流れをわかりやすく解説します。
x²−2y²=1 の方程式とペル方程式の基本
方程式 x²−2y²=1 は、整数解を求める問題でよく登場するペル方程式の一種です。この式は、xとyの間に非常に強い関係を持たせるため、整数論や図形問題へ応用されます。
この方程式を変形すると、x²=2y²+1となります。右辺が奇数であることからxは奇数となり、解は単なるランダムな整数ではなく、特定の規則性を持って現れます。
例えば最小の正整数解は(x,y)=(3,2)であり、さらに大きな解として(17,12)、(99,70)などが存在します。これらの解は連続的な規則を持って増えていきます。
(1) xとyが互いに素であることの証明
まず、任意の正整数解(x,y)について、xとyの最大公約数を考えます。
もしxとyが互いに素でないとすると、ある素数pがxとyの両方を割り切ることになります。つまり、p|x、p|yです。
このときx²−2y²=1の左辺は、x²と2y²の両方がpで割り切れるため、左辺全体がpで割り切れることになります。しかし右辺は1なので、pで割り切れることはありません。
これは矛盾です。したがって、xとyには共通の約数が存在せず、互いに素であることが示されます。
線分OA上の格子点の個数を求める方法
点A(x,y)と原点O(0,0)を結ぶ線分上の格子点を考えます。格子点とは、座標がともに整数になる点のことです。
一般に、(0,0)から(x,y)までの線分上にある格子点の個数は、xとyの最大公約数を利用して求められます。個数は最大公約数をdとすると、d+1個になります。
今回の場合、(1)で示したようにxとyは互いに素なので、最大公約数は1です。したがって、線分OA上の格子点はOとAの2点だけになります。
(2) 三角形OABに内部格子点や辺上の格子点がない理由
次にB(-2y,-x)を考えます。この点を使った三角形OABでは、格子点が存在しないことを示します。
格子点三角形では、面積と格子点の関係を表すピックの定理が有効です。ピックの定理は、格子点だけで作られた図形について、面積Sを内部格子点数Iと境界上の格子点数Bを用いてS=I+B/2−1と表す公式です。
まず三角形OABの面積を求めます。A(x,y)、B(-2y,-x)なので、行列式を利用すると面積は
1/2|x(-x)-y(-2y)|=1/2|2y²-x²|
となります。ここでx²−2y²=1より、2y²−x²=-1なので面積は1/2になります。
また、辺OAには先ほど示した通り格子点は端点だけです。辺OBについてもxと2yが互いに素であることから余分な格子点はありません。
さらにAB上についても、ベクトルの差(-3y,-x-y)の成分が互いに素になることを確認できます。そのため境界上の格子点は3頂点のみです。
よってB=3となり、ピックの定理から1/2=I+3/2−1となります。整理するとI=0となり、内部にも格子点が存在しないことがわかります。
(3) 合同な格子点三角形を敷き詰めた面積とHₙ
この三角形をn個敷き詰めてできる多角形の面積をSₙとします。1つの三角形の面積は1/2なので、単純に考えるとSₙ=n/2となります。
したがって、和Hₙは次の形になります。
Hₙ=Σ(k=1からn)1/(2Sₖ)
Sₖ=k/2なので、2Sₖ=kとなり、Hₙは調和数Hₙ=1+1/2+1/3+…+1/nになります。
ここで重要なのは、n≥2のとき調和数は整数にならないという性質です。
調和数が整数にならないことの証明
調和数が整数でないことを示すには、分母の性質を利用します。
Hₙ=1+1/2+1/3+…+1/nを通分すると、分母にはn以下の最大の2の累乗が残ります。具体的には、分母全体の最小公倍数Lを考えると、その中で最大の2の因子を持つ項だけが奇数部分を残します。
例えばn≥2の場合、分母の最大の2の指数を持つ数mが存在します。その項1/mだけは分子に奇数の因子を残し、他の項では2の因子によって偶数になります。そのため分子全体が奇数となり、分母の2の因子が完全には消えません。
したがってHₙの分母は1にならず、整数ではありません。
この問題で身につけたい数学的な考え方
この問題は、単なる計算問題ではなく、整数論・図形・面積公式を組み合わせて考える総合問題です。
特に重要なのは、条件式x²−2y²=1を何度も利用することです。最初は整数解の性質を示すために使い、次には面積計算を簡単にするために使っています。
難しい問題ほど、与えられた条件を一度だけ使うのではなく、別の形に変換して何度も利用することが解法のポイントになります。
まとめ
x²−2y²=1の問題では、互いに素という整数の性質から始まり、格子点、ピックの定理、面積、調和数の性質へと発展していきます。
解法の中心は、方程式の条件を最大限活用することです。x²−2y²=1という一見単純な式が、図形の性質や数の規則性を導く鍵になります。
このような問題を解くことで、高校数学で重要となる「条件から新しい性質を引き出す力」を身につけることができます。


コメント