数学IIで学ぶ因数定理では、「因数をもつ」という表現と「割り切れる」という考え方が重要になります。しかし、式の変形によって見た目に同じような形が出てくるため、どこまでを因数と呼ぶのか混乱する人も少なくありません。
この記事では、因数の基本的な意味から、因数定理でなぜ割り切れることが関係するのか、具体的な式を使って分かりやすく解説します。
そもそも因数とは何か
因数とは、ある式を掛け算の形に分解したときの、それぞれの掛け合わせる部分のことです。
例えば、x²+3x+2=(x+2)(x+1)という式を考えます。この場合、右辺は「(x+2)と(x+1)を掛けたもの」になっています。
したがって、x²+3x+2は「(x+2)を因数にもつ」「(x+1)を因数にもつ」と表現できます。
因数をもつとは必ず掛け算の形で表せるという意味
「x+2を因数にもつ」という言葉は、「その式が(x+2)×何かという形で書ける」という意味です。
例えば、x²+3x+2の場合は、(x+2)(x+1)と分解できるため、x+2は確かに因数です。
一方で、式の中にたまたまx+2という部分が登場するだけでは因数とは言いません。因数になるためには、全体の式を掛け算の形にしたときに、その部分が一つのまとまりとして存在する必要があります。
x²+3x+2=(x-2)(x+5)+12の場合、x-2やx+5は因数なのか
この式では、(x-2)(x+5)という掛け算の部分がありますが、最後に12が足されています。
つまり、式全体は「(x-2)と(x+5)の積」ではありません。実際には、
x²+3x+2=(x-2)(x+5)+12
という形なので、x²+3x+2を(x-2)×何か、または(x+5)×何かという形で表しているわけではありません。
そのため、この式だけを見て「x-2やx+5を因数にもつ」とは言いません。
因数をもつなら必ず割り切れるのか
結論から言うと、ある式が因数をもつ場合、その因数で割ると余りは必ず0になります。
例えば、
x²+3x+2=(x+2)(x+1)
なので、x²+3x+2をx+2で割ると、答えはx+1になり余りはありません。
これは、掛け算の形で「(x+2)×(x+1)」となっているため、もともとx+2が割る数として含まれているからです。
因数定理と割り切れる条件の関係
数学IIで扱う因数定理では、特に三次以上の多項式について、因数を見つける方法を学びます。
例えば、三次式f(x)について、
f(a)=0
が成り立つ場合、(x-a)はf(x)の因数になります。
これは、x=aを代入したときに0になるということが、「x-aで割った余りが0になる」という意味だからです。
例えば、f(2)=0ならば、(x-2)はf(x)の因数になります。逆に、(x-2)が因数ならばf(2)=0になります。
割り切れるけれど因数ではない場合はあるのか
基本的に、数学で「因数で割る」という場合、その因数は割る対象の式を構成する掛け算の一部です。
例えば、12÷3=4では、3は12の因数です。なぜなら12=3×4と書けるからです。
多項式でも同じ考え方で、ある式P(x)がP(x)=(x-1)Q(x)と書けるなら、(x-1)はP(x)の因数になります。
因数とただの式変形を見分けるポイント
因数かどうか判断するときは、「その式全体が掛け算の形になっているか」を確認すると分かりやすくなります。
| 式 | 因数をもつか |
|---|---|
| x²+3x+2=(x+2)(x+1) | (x+2)、(x+1)が因数 |
| x²+3x+2=(x-2)(x+5)+12 | (x-2)、(x+5)は因数ではない |
足し算や引き算が最後に残っている場合、その部分だけを見て因数と判断しないことが大切です。
まとめ
因数とは、式を掛け算の形に分解したときに現れるまとまりのことです。
x²+3x+2=(x+2)(x+1)のような場合は、x+2やx+1が式の一部として掛けられているため因数になります。
一方で、x²+3x+2=(x-2)(x+5)+12のように途中に掛け算があっても、最後に足し算が残っている場合は式全体の因数とは言えません。
また、因数をもつということは、その因数で割ったときに余りが0になるということです。因数定理では、この「割り切れる条件」を利用して、多項式の因数を見つけていきます。


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