逆三角関数を含む不定積分は、置換積分や部分積分を組み合わせて解くことが多く、計算の流れを理解することが重要です。今回は、(arcsin x)^2および(arcsin x)^3の不定積分について、部分積分を利用した基本的な解法を解説します。
arcsin xを含む積分で使う基本方針
arcsin xはそのまま積分することが難しい関数ですが、微分すると比較的単純な形になります。
逆三角関数の基本公式として、
$$\frac{d}{dx}(\arcsin x)=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}$$
があります。
そのため、arcsin xを微分側に回すように部分積分を利用すると計算しやすくなります。
(1) ∫(arcsin x)^2dx の計算
まず、
I=∫(arcsin x)^2dx
とおきます。
部分積分の公式、
∫u dv=uv-∫v du
を利用します。
u=(arcsin x)^2、dv=dx
とすると、
du=2arcsin x\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}dx、v=x
になります。
したがって、
I=x(arcsin x)^2-2∫\frac{x\arcsin x}{\sqrt{1-x^2}}dx
となります。
残った積分を置換して整理する
ここで、
x=sin t
と置換します。
すると、
arcsin x=t
dx=cos t dt
√(1-x²)=cos t
となります。
よって、
∫\frac{x\arcsin x}{\sqrt{1-x^2}}dx=∫t sin t dt
になります。
さらに部分積分を行うと、
∫t sin t dt=-t cos t+sin t
です。
元に戻すと、
t=arcsin x、cos t=√(1-x²)、sin t=x
なので、
∫t sin t dt=-(arcsin x)√(1-x²)+x
となります。
したがって、
I=x(arcsin x)^2+2(arcsin x)√(1-x²)-2x+C
を得ます。
(2) ∫(arcsin x)^3dx の計算
次に、
J=∫(arcsin x)^3dx
を考えます。
同じように部分積分を利用します。
u=(arcsin x)^3、dv=dx
とすると、
du=\frac{3(arcsin x)^2}{\sqrt{1-x^2}}dx、v=x
です。
よって、
J=x(arcsin x)^3-3∫\frac{x(arcsin x)^2}{\sqrt{1-x^2}}dx
となります。
2乗の積分結果を利用して整理する
ここで先ほどと同じく、
x=sin t
と置換すると、
∫\frac{x(arcsin x)^2}{\sqrt{1-x^2}}dx=∫t^2sin t dt
になります。
部分積分を2回使うことで、
∫t^2sin t dt=-t^2cos t+2t sin t+2cos t
となります。
元の変数へ戻すと、
t=arcsin x、cos t=√(1-x²)、sin t=x
なので、
∫\frac{x(arcsin x)^2}{\sqrt{1-x^2}}dx=-(arcsin x)^2√(1-x²)+2x\arcsin x+2√(1-x²)
となります。
したがって、
J=x(arcsin x)^3+3(arcsin x)^2√(1-x²)-6x\arcsin x-6√(1-x²)+C
が求める結果です。
計算結果のまとめ
以上より、求める不定積分は以下のようになります。
∫(arcsin x)^2dx=x(arcsin x)^2+2(arcsin x)√(1-x²)-2x+C
∫(arcsin x)^3dx=x(arcsin x)^3+3(arcsin x)^2√(1-x²)-6x\arcsin x-6√(1-x²)+C
逆三角関数を含む積分では、微分すると1/√(1-x²)になる性質を利用し、部分積分と三角関数への置換を組み合わせることがポイントになります。
特に(arcsin x)^nのような形では、まずarcsin xを微分する方向で部分積分を考えると、複雑な式でも整理しやすくなります。


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