有理関数の不定積分では、分母が因数分解できる場合、部分分数分解を利用すると計算しやすくなります。今回は「∫x/(x³-1)²dx」という形の積分について、分母の因数分解から部分分数分解、積分結果を求めるまでの流れを丁寧に解説します。
三次式の二乗が分母にあるため一見複雑に見えますが、基本的な積分技法を組み合わせることで解くことができます。
まず分母を因数分解する
与えられた積分は、
I=∫x/(x³-1)² dx
です。
まず分母のx³-1を因数分解します。
x³-1=(x-1)(x²+x+1)
したがって、
(x³-1)²=(x-1)²(x²+x+1)²
となります。
この形を見ると、部分分数分解を利用できることが分かります。
部分分数分解を設定する
分母の因数に合わせて、
x/(x³-1)²=A/(x-1)+B/(x-1)²+(Cx+D)/(x²+x+1)+(Ex+F)/(x²+x+1)²
と置きます。
両辺に(x-1)²(x²+x+1)²を掛けると、
x=A(x-1)(x²+x+1)²+B(x²+x+1)²+(Cx+D)(x-1)²(x²+x+1)+(Ex+F)(x-1)²
となります。
この恒等式から係数を比較することで、A,B,C,D,E,Fを求めます。
係数を比較して定数を求める
計算を進めると、部分分数分解は、
x/(x³-1)²=-1/(9(x-1))+1/(9(x-1)²)+(x+2)/(9(x²+x+1))-(2x+1)/(3(x²+x+1)²)
となります。
この形に変形できれば、それぞれの項を個別に積分することができます。
それぞれの項を積分する
まず、
∫-1/(9(x-1))dx=-1/9 ln|x-1|
となります。
また、
∫1/(9(x-1)²)dx=-1/(9(x-1))
です。
次に、二次式を含む項は平方完成を利用します。
x²+x+1=(x+1/2)²+3/4
と変形することで、対数関数や逆三角関数を含む形に整理できます。
二次式部分の積分
一般的に、
∫(2x+1)/(x²+x+1)dx
の形は、分母の微分が分子に現れるため対数関数になります。
一方で、
∫dx/(x²+x+1)
の形は平方完成後に、
∫dt/(t²+a²)
となるためarctanを利用します。
したがって最終的な積分結果には、ln|x-1|、ln(x²+x+1)、arctan((2x+1)/√3)などの項が現れます。
最終的な積分結果
計算を整理すると、
∫x/(x³-1)²dx=-1/9 ln|x-1|-1/(9(x-1))+1/18 ln(x²+x+1)+1/(3(x²+x+1))-1/(3√3)arctan((2x+1)/√3)+C
となります。
ここでCは積分定数です。
このような有理関数の積分では、部分分数分解後に各項を基本公式へ当てはめることが重要です。
この積分で覚えておきたいポイント
∫x/(x³-1)²dxのように分母が因数分解できる有理関数では、最初に因数分解することが解法の第一歩です。
特に三次式の場合、x³-1=(x-1)(x²+x+1)という公式を覚えておくと、部分分数分解の形を作りやすくなります。
また、二次式x²+x+1が出てきた場合は、平方完成して対数積分と逆三角関数積分に分けることが基本的な考え方になります。
まとめ|複雑な有理関数積分は分解して考える
「∫x/(x³-1)²dx」は見た目が複雑ですが、①分母の因数分解、②部分分数分解、③基本積分への変換という流れで解くことができます。
有理関数の積分では、一気に計算しようとせず、分母の構造を確認して適切な形に分解することが重要です。
部分分数分解の考え方を身につけると、同じような高次の分母を持つ積分問題にも応用できるようになります。


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