伊勢物語写本の珍しい表記『おもはさりけり』の価値と特徴

文学、古典

古典文学の写本は、時代や書写者によって表記や語尾が微妙に異なることがあります。特に『伊勢物語』の写本では、最後の和歌の語尾表記に注目することで、その写本の希少性や価値を見極める手がかりになります。

『おもはさりけり』の表記について

通常、『伊勢物語』の最後の和歌は『おもはさりしを』と記されることが多いですが、手元の写本では『おもはさりけり』となっています。この違いは、古今集や源氏物語などで見られる古典的な表現を反映しており、書写時期や書写者の流派、文学的趣味を示す可能性があります。

『けり』は過去の完了や詠嘆を表す助動詞で、文末の和歌に用いることで表現の響きや味わいが微妙に変化します。そのため、『おもはさりけり』の表記は写本としては珍しく、研究的価値が高いと考えられます。

写本の年代と書写者

奥付によると、天福から始まり、天正6年に林鐘の紹巴在判で終わることから、桃山〜江戸初期の写本であることが確認できます。時代桐箱や金泥表紙の装丁も、当時の高級写本としての価値を示唆しています。

写本の価値の判断ポイント

写本の学術的・文化的価値は、以下のポイントで評価されます:
1. 表記の珍しさ(今回の『おもはさりけり』)
2. 書写時期と歴史的背景
3. 書写者や奥付情報
4. 装丁・保存状態

特に語尾の変化や助動詞の用法は、研究者にとって写本の流通・伝承の研究に重要な情報を提供します。

まとめ

今回の『おもはさりけり』という表記は、標準的な『おもはさりしを』と異なるため、写本としては珍しい部類に入ります。桃山〜江戸初期の高級写本としての装丁や奥付情報とあわせると、文化的・学術的価値が高く、専門家によるさらなる検証に値します。

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