高速道路の近くに行くと、高い防音壁が設置されているにもかかわらず、「ゴーッ」という走行音が意外と大きく聞こえることがあります。特に周辺のマンションや住宅の上階では、窓を閉めていても音が気になることもあります。では、なぜ大きな防音壁があるのに騒音は完全に消えないのでしょうか。
防音壁は「音をゼロにする壁」ではない
まず重要なのは、防音壁は騒音を完全に消すための設備ではなく、「音を減らす」ための設備だという点です。
高速道路の騒音は、タイヤと路面の摩擦音、エンジン音、風切り音、大型トラックの振動音など、さまざまな音が混ざっています。防音壁はこれらを遮ることで音量を下げますが、完全に防ぎ切ることはできません。
たとえば懐中電灯を壁で遮っても、上や横に光が漏れるのと同じように、音も回り込む性質があります。
音は壁を「回り込む」性質がある
音は空気の振動なので、障害物があっても回折(かいせつ)という現象によって壁の上や横に回り込みます。
特に低音は波長が長いため、防音壁を越えて遠くまで届きやすい特徴があります。大型トラックの「ブォー」という低い音が遠くまで聞こえるのはこのためです。
つまり、防音壁が高くても、完全なフタのようにはならないのです。
高層階ほど騒音が届くこともある
高速道路沿いのマンションでは、低層階より高層階の方が騒音を感じやすい場合があります。
これは、防音壁が主に地上付近への騒音対策として設計されているためです。建物の高層階になると、防音壁の上から直接音が届きやすくなります。
実際、10階以上になると「防音壁の意味があまりない」と感じるケースもあります。
建物や地形による反射も影響する
都市部では、音は単純に一直線で伝わるだけではありません。
周囲のマンションやビルの壁面に反射し、音が増幅されたり、特定の場所に集中したりすることがあります。これを反響や反射音と呼びます。
特に高架道路の場合、道路の下面や周辺建築物で音が跳ね返り、「思った以上にうるさい」と感じる原因になります。
道路の舗装や車種によっても大きく変わる
高速道路の騒音は、防音壁だけで決まるわけではありません。
- 古い舗装か低騒音舗装か
- 大型トラックの交通量
- 夜間か昼間か
- 雨天時か晴天時か
- 道路が高架か地上か
こうした条件でも騒音レベルは大きく変化します。
特に雨の日はタイヤの水はね音が増え、通常よりかなりうるさく感じることがあります。
それでも防音壁には効果がある
「うるさいなら意味がない」と思われがちですが、防音壁がなければ騒音はさらに深刻になります。
実際には、防音壁によって数デシベル以上の騒音低減効果があり、体感でもかなり違いがあります。
また最近では、透明素材を使った高性能防音壁や、吸音材を内蔵したタイプなど、より効果を高めた設備も増えています。
まとめ
高速道路の防音壁があっても騒音が残るのは、音が回り込む性質を持っているためです。特に低音は防音壁を越えやすく、高層階ではさらに影響を受けやすくなります。
さらに、建物の反射や道路構造、大型車の交通量なども騒音を大きく左右します。防音壁は「完全防音装置」ではありませんが、それでも周辺環境の騒音を大きく軽減する重要な設備なのです。


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