広義積分 ∫₀^∞ log x(cos ax−cos bx)/x dx(a,b>0)が収束するかどうかを判断するには、積分区間を0付近と∞付近に分けて、それぞれで被積分関数の振る舞いを調べる必要があります。
この積分は一見するとlog xや1/xが含まれているため発散しそうに見えますが、cos ax−cos bxという差の形によって重要な打ち消しが起こります。この記事では、広義積分の収束性をどのように判断するかを順番に解説します。
広義積分の収束を調べる基本的な考え方
積分区間が0から∞まで広がっている場合、通常の定積分とは異なり、端点での挙動を確認する必要があります。
今回の積分では、x→0の場合とx→∞の場合の2つを別々に調べます。つまり、
∫₀^∞ f(x)dx が収束するためには、∫₀^1 f(x)dx と ∫₁^∞ f(x)dx の両方が有限値に近づく必要があります。
x→0での挙動を調べる
まず、cos axとcos bxをxが0に近い場合で展開します。
cos ax=1−(a²x²)/2+O(x⁴)、cos bx=1−(b²x²)/2+O(x⁴) なので、差を取ると、
cos ax−cos bx=−(a²−b²)x²/2+O(x⁴)
となります。
したがって、被積分関数は、
log x(cos ax−cos bx)/x ≒ log x・C x
のような形になります(Cは定数)。
xlog x はx→0で0に近づき、さらに∫₀^1 x|log x|dxは有限なので、0付近での積分は収束します。
x→∞での挙動を調べる
次に無限遠方での性質を考えます。
cos ax−cos bxは単独では振動するだけで大きさは一定ですが、1/xとlog xが掛かっているため、被積分関数はおおよそ、
(log x)/x × 振動関数
という形になります。
ここで重要なのは、cos axとcos bxの差による振動的な打ち消しです。単純に絶対値を取ると、
∫₁^∞ |log x(cos ax−cos bx)/x|dx
は発散します。つまり、この積分は絶対収束ではありません。
しかし、振動する関数の積分では、ディリクレの判定法のように振動による相殺を利用して収束を判断できます。
部分積分による収束性の確認
cos ax−cos bxは原始関数を持ち、
∫(cos ax−cos bx)dx=sin ax/a−sin bx/b
となります。この値はx→∞でも有界です。
一方、log x/xはx→∞でゆっくり減少します。そのため、部分積分を行うことで振動部分の効果によって積分が有限値に近づくことが確認できます。
したがって、∞側についても広義積分として収束します。
絶対収束ではなく条件収束する積分
今回の積分で注意すべき点は、「収束する」と「絶対収束する」は異なるということです。
絶対値をつけた積分は発散するため、この積分は絶対収束ではありません。しかし、cos関数の振動によるキャンセルによって値が定まり、条件収束します。
これは振動積分でよく見られる性質です。例えば、∫₀^∞ sin x/x dxも絶対収束しませんが、振動によって収束する代表的な例です。
a,bの条件による注意点
a,b>0という条件では基本的に収束します。ただし、a=bの場合はcos ax−cos bx=0となるため、積分全体が常に0になります。
aとbが異なる場合でも、0付近では2つの余弦関数の差がx²のオーダーで小さくなるため、特異性は発生しません。
つまり、a,bが正の有限値である限り、この積分は問題なく定義できます。
まとめ|∫₀^∞ log x(cos ax−cos bx)/x dxは条件収束する
積分 ∫₀^∞ log x(cos ax−cos bx)/x dx は、0付近ではcos関数の差が打ち消し合うため収束し、∞付近では振動による相殺によって収束します。
ただし、絶対値をつけた積分は発散するため、これは絶対収束ではなく条件収束です。
このような積分では、単純に(log x)/xという大きさだけを見るのではなく、三角関数の振動によるキャンセル効果を考えることが重要です。


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