菊竹清訓のスカイハウスは、近代日本建築を代表する作品の一つで、特徴的なHPシェル(双曲放物面シェル)の屋根形状を持っています。模型制作では、この複雑な曲面をどのように表現するかが大きなポイントになります。この記事では、100分の1スケールのスカイハウス模型でHPシェルをできるだけ正確に再現するための考え方や、スチレンボードや100円ショップで入手できる材料を使った製作方法を解説します。
スカイハウスのHPシェルを理解することが模型制作の第一歩
HPシェルとは、双曲放物面(Hyperbolic Paraboloid)の形状を持つ薄い曲面構造です。菊竹清訓のスカイハウスでは、この構造が単なる屋根ではなく、建築の空間性や構造表現そのものになっています。
HPシェルの特徴は、四辺が直線で構成できるにもかかわらず、中央部分がねじれた曲面になる点です。そのため、普通の平面パネルを少しずつ曲げて作ろうとすると、形が崩れやすくなります。
模型制作で重要なのは、曲面を無理に作るのではなく、HPシェルが「直線の集合によって生まれる曲面」であることを利用することです。
スチレンボードを細かく切る方法が難しい理由
スチレンボードを細長く切り、少しずつ角度を変えながら貼り合わせる方法は、一見すると曲面を作れそうですが、HPシェルの再現には向いていません。
理由は、HPシェルは単純な円弧やドームではなく、方向によって曲率が変化するねじれた面だからです。細い板を貼り重ねると、部分的には似た形になっても、全体の流れが不自然になりやすくなります。
例えば、船の模型のような一定方向に湾曲する形状なら板を重ねる方法でも作れますが、スカイハウスの屋根のようなねじれた面では別のアプローチが必要です。
100分の1模型なら薄い素材で面を作る方法がおすすめ
100分の1スケールの場合、実物の構造をそのまま再現するよりも、見た目の正確さを優先したほうがきれいに仕上がります。
おすすめの素材は、薄いプラ板、厚紙、トレーシングペーパー、100円ショップのPPシートなどです。特に薄いプラスチック素材は、HPシェルの連続した面を表現しやすくなります。
例えば、0.3mm程度のプラ板を使用し、後述する型紙に合わせて切り出すと、スチレンボードよりも自然な曲面を作ることができます。
HPシェルを正確に作るための具体的な製作手順
まず、平面図や断面図からHPシェル部分だけを取り出し、型紙を作ります。HPシェルは四辺が直線なので、模型ではその直線ラインを基準にすると形を合わせやすくなります。
次に、屋根面を一枚のシートとして切り出します。中央部分を少し押し上げたり引き下げたりすることで、ねじれた曲面を作ります。
固定するときは、一気に接着するのではなく、四隅や端部を先に固定し、最後に中央部分の形を調整するときれいに仕上がります。
おすすめの材料例
| 材料 | 特徴 | 使い方 |
|---|---|---|
| プラ板 | 薄く丈夫で曲面を作りやすい | HPシェル本体に使用 |
| PPシート | 柔軟で加工しやすい | 100円ショップでも入手可能 |
| 厚紙 | 接着しやすく試作向き | 型紙や練習用 |
| スチレンボード | 厚みを表現しやすい | 壁や床部分に使用 |
模型でHPシェルを表現するときのポイント
建築模型では、実物と同じ材料を使うことよりも、形の特徴を正しく伝えることが重要です。特にスカイハウスの場合、HPシェルの「浮いているような軽さ」と「中央へ向かう力の流れ」を表現することが大切です。
屋根を厚い材料で作ると重量感が出てしまい、実際の建築が持つ軽快な印象が失われる場合があります。そのため、薄い素材でシャープな面を作るほうが適しています。
また、完成後に模型を見る角度も重要です。HPシェルは見る方向によって形の見え方が変化するため、模型写真を撮る際も特徴が出る角度を意識すると良いでしょう。
失敗しやすいポイントと改善方法
よくある失敗は、屋根を細かいパーツに分割しすぎて、全体の連続性が失われることです。HPシェルは一枚の面として成立しているため、可能なら一体成形に近い方法を選ぶほうが自然になります。
また、図面だけを見て感覚的に作ると、ねじれ方向を間違えることがあります。制作前に、紙などで簡単な試作品を作り、光の当たり方やシルエットを確認すると失敗を減らせます。
建築模型では、最初から完成形を作ろうとせず、小さな検討模型で形を確認してから本制作に移ることが、結果的に最も早く正確な模型につながります。
まとめ:スカイハウスのHPシェルは「削る」より「一枚の面を作る」
菊竹清訓のスカイハウス100分の1模型でHPシェルを再現する場合、細長いスチレンボードを貼り合わせる方法よりも、薄いシート状素材で一つの曲面を作る方法が適しています。
プラ板やPPシートなどを使い、HPシェルの直線的な構成とねじれた面の特徴を利用すると、より正確で美しい模型になります。
大切なのは、複雑な曲面を無理に再現することではなく、スカイハウスが持つ構造的な美しさを模型として伝えることです。試作を重ねながら形を調整することで、建築的な理解も深まります。


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