なぜ紫色の巨峰から赤色の安芸クイーンが生まれるのか?ぶどうの色の遺伝の仕組みを解説

植物

ぶどうには巨峰のような紫黒色の品種だけでなく、赤色や緑色の品種も存在します。その中には、紫色の親を持つにもかかわらず赤色の果皮を持つ品種が誕生することがあります。

代表的な例が安芸クイーンで、巨峰の自殖実生から生まれた赤系ぶどうとして知られています。なぜ同じ紫色の品種から赤色の品種が現れるのか、その理由はぶどうの色を決める遺伝子の組み合わせにあります。

ぶどうの色は何によって決まるのか

ぶどうの果皮の色は、主にアントシアニンという色素の量や種類によって決まります。アントシアニンは赤色や紫色を作り出す天然色素で、多く含まれるほど濃い紫色や黒色に近づきます。

一方で、赤色のぶどうはアントシアニンの量や組成が紫黒色の品種とは異なります。つまり、紫色の品種と赤色の品種は完全に別の仕組みで色が作られているわけではなく、色素を作る能力の違いによって見た目が変化します。

果皮の色は単純に「紫色の遺伝子」「赤色の遺伝子」のように一つだけで決まるものではなく、複数の遺伝子が関係しています。

巨峰の自殖から赤い品種が生まれる理由

自殖とは、同じ個体の花粉を使って受粉し、種子を作ることです。巨峰のような品種でも、遺伝的には完全に同じ遺伝子だけを持っているわけではありません。

植物は両親から受け継いだ遺伝子を2組持っており、一見同じ性質に見える品種でも、内部にはさまざまな遺伝的な違いが隠れています。

そのため、巨峰自身の花粉で受粉した場合でも、子どもには親とは異なる遺伝子の組み合わせが現れることがあります。その中に果皮の色に関係する遺伝子の組み合わせが変化した個体が生まれることがあります。

安芸クイーンが赤色になった遺伝的な仕組み

安芸クイーンは巨峰の自殖実生から選抜された品種です。つまり、親は巨峰ですが、種子から育った個体は巨峰と完全に同じ性質になるわけではありません。

例えば、人間でも兄弟で髪の色や体格が少し違うように、植物でも同じ親から生まれた子どもには個体差があります。

安芸クイーンの場合、果皮の色に関係する遺伝子の組み合わせによって、巨峰よりもアントシアニンの蓄積が少なく、赤色に見える性質が現れました。

突然変異だけが理由ではない

新しい品種が生まれるとき、「突然変異によって変わった」と説明されることがあります。しかし、安芸クイーンのようなケースでは、必ずしも突然変異だけが原因ではありません。

親が持っていた遺伝的な多様性が、子どもの世代で組み替えられることで、新しい特徴が表に出ることがあります。

植物育種では、このような偶然現れた特徴を持つ個体を選び、何年もかけて性質を確認することで、新しい品種として登録されます。

ぶどうの品種改良で多様な色が生まれる理由

ぶどうでは昔から、味、香り、大きさ、種の有無、色などを目的に品種改良が行われてきました。

同じ系統のぶどうでも、遺伝子の組み合わせが変わることで、紫、赤、黄緑などさまざまな果皮色の品種が誕生します。

例えば、巨峰のような人気品種からも、自然な交配や自殖によって新しい特徴を持つ個体が見つかることがあります。これが、現在の多彩なぶどう品種の誕生につながっています。

まとめ

紫色の巨峰から赤色の安芸クイーンが生まれた理由は、ぶどうの色が単純な一つの遺伝子だけで決まるものではなく、複数の遺伝子の組み合わせによって決まるためです。

巨峰を自殖しても、その子どもは必ず巨峰と同じ性質になるわけではありません。隠れていた遺伝的な違いが表に出ることで、赤色のような新しい特徴を持つ個体が誕生します。

このような遺伝的な多様性があるからこそ、現在のぶどうには多くの魅力的な品種が存在し、今後も新しい味や色の品種が生まれていくのです。

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