塩化鉄(III)とヘキサシアニド鉄(II)酸カリウムで濃青色になる理由|ターンブルブルーとベルリン青の生成反応

化学

塩化鉄(III)水溶液にヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム水溶液を加えると、鮮やかな濃青色を示す現象が起こります。この色は単純にどちらか一方の物質が持っている色ではなく、鉄イオンとシアン化物錯体の間で新しい化合物が生成することで現れます。

この反応は高校化学でもよく扱われる鉄イオンの確認反応の一つであり、生成する青色の物質はベルリン青(プルシアンブルー)として知られています。この記事では、なぜ濃青色になるのか、その反応の仕組みを分かりやすく解説します。

塩化鉄(III)とヘキサシアニド鉄(II)酸カリウムとは

塩化鉄(III)は、水に溶けると鉄(III)イオンFe³⁺を生じる化合物です。鉄(III)イオンは黄色〜黄褐色の水溶液になります。

一方、ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウムは一般的にフェロシアン化カリウムと呼ばれる物質で、化学式はK₄[Fe(CN)₆]です。水に溶けると、ヘキサシアニド鉄(II)酸イオン[Fe(CN)₆]⁴⁻を生じます。

このイオンは、鉄イオンとシアン化物イオンCN⁻が結合した錯イオンであり、単なるシアン化物ではなく安定した構造を持っています。

濃青色は新しい化合物ができることで発生する

塩化鉄(III)にフェロシアン化カリウムを加えると、鉄(III)イオンFe³⁺とヘキサシアニド鉄(II)酸イオン[Fe(CN)₆]⁴⁻が反応します。

反応式で表すと、次のようになります。

4Fe³⁺ + 3[Fe(CN)₆]⁴⁻ → Fe₄[Fe(CN)₆]₃

この生成物であるFe₄[Fe(CN)₆]₃が、ベルリン青(プルシアンブルー)と呼ばれる濃青色の化合物です。

つまり、濃青色になる理由は、塩化鉄(III)やフェロシアン化カリウム自体の色ではなく、両者が反応してできた新しい物質が光を吸収する性質を持っているためです。

ベルリン青が青く見える仕組み

ベルリン青の青色は、鉄イオン同士の間で起こる電子の移動によって生じます。ベルリン青の中には鉄(II)と鉄(III)の両方が存在しており、鉄の酸化状態の違いによる電子のやり取りが発色の原因になります。

このような発色は「電荷移動吸収」と呼ばれる現象です。特定の波長の光が吸収され、残った光が青色として目に見えるため、濃い青色に見えます。

身近な例では、絵の具や顔料として使われるプルシアンブルーも、この化学的性質を利用したものです。

どちらか一方の性質による色なのか

この反応の場合、濃青色はどちらか一方の物質が持つ性質によるものではありません。塩化鉄(III)だけでは黄色系の色を示し、フェロシアン化カリウムだけでは濃青色にはなりません。

2つの物質が接触することで、鉄イオンと錯イオンが組み合わさった新しい構造が形成され、その結果として特徴的な青色が現れます。

化学反応による色の変化では、このように「反応前の物質の色」ではなく「反応後にできた物質の性質」によって色が決まる場合が多くあります。

フェリシアン化カリウムとの違いにも注意

似た名前の物質としてヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム(フェリシアン化カリウム)K₃[Fe(CN)₆]があります。こちらは鉄の酸化数が異なるため、鉄(III)イオンとの反応では異なる青色化合物が生成します。

フェロシアン化物からできる青色化合物と、フェリシアン化物からできる青色化合物は歴史的には区別されてきましたが、現在では構造的に近い物質群として理解されています。

高校化学では、鉄(II)イオンや鉄(III)イオンの検出反応として、それぞれ異なる試薬を使った時の色の違いを覚えることが重要です。

まとめ|濃青色の正体は鉄錯体による新しい化合物

塩化鉄(III)にヘキサシアニド鉄(II)酸カリウムを加えると濃青色になるのは、両方の物質が持つ色が混ざるためではありません。

鉄(III)イオンFe³⁺とヘキサシアニド鉄(II)酸イオン[Fe(CN)₆]⁴⁻が反応し、ベルリン青と呼ばれる新しい化合物Fe₄[Fe(CN)₆]₃が生成するためです。

この青色は鉄イオン間の電子移動による発色であり、化学反応によって生まれた物質特有の性質によるものです。色の変化を見た時は、単なる混色ではなく「どんな新しい物質ができたのか」を考えることが化学を理解するポイントになります。

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