グラビア印刷機の巻出しテンション制御では、スイッチや制御回路のわずかな不具合が、テンションが全く発生しないという大きなトラブルにつながることがあります。特に旧型機では、廃番部品の代替交換後に同じように見えても正常動作しないケースがあります。
この記事では、巻出しテンション用トグルスイッチを交換した後に電圧変化が少ない、テンションがかからない場合に考えられる原因や確認ポイントについて、制御の仕組みを踏まえて解説します。
トグルスイッチの電流容量違いが原因なのか
まず確認したい点は、交換したトグルスイッチのアンペア数が大きくなったことが原因ではないかという点です。結論から言うと、通常は定格電流が大きいスイッチへ変更したことだけでテンションがかからなくなる可能性は低いです。
S-116が5A・125V AC、2A・250V ACで、交換品のS-6Aが10A・125V AC、5A・250V ACであれば、電流容量としては上位互換に近い仕様です。電圧や接点構成が同じON-ONであれば、単純に容量が大きいことが制御不良の原因になるとは考えにくいです。
ただし、トグルスイッチは見た目が同じでも、内部接点の構造や端子配置が異なる場合があります。そのため、端子番号やCOM端子(共通端子)の位置が旧品と完全に一致しているか確認する必要があります。
最初に確認すべきトグルスイッチ交換時の配線ミス
ON-ONタイプのトグルスイッチは、中央の共通端子と左右の切替端子によって動作します。見た目が同じでも、メーカーや型式によって端子配置が異なることがあります。
例えば、旧スイッチでは中央端子が電源入力だったものが、新しいスイッチでは反対側の端子配置になっている場合、スイッチをONにしても期待した回路へ電源が流れません。
確認する場合は、旧スイッチを取り外す前の写真や同型機の配線だけでなく、テスターを使ってスイッチ単体の導通確認を行うことが重要です。ON時にどの端子間が導通するかを確認すると、配線ミスを発見できます。
テンション制御で電圧が上がらない場合に考えられる原因
テンション制御装置では、単純にスイッチからモーターやブレーキへ直接電源を送っているわけではなく、制御基板やパワーモジュールを介して出力を調整している場合があります。
そのため、スイッチを交換しても制御信号が正常に伝わらなければ、テンションは発生しません。今回のようにランプは点灯するもののテンションがかからない場合、操作入力側は動作している可能性があります。
具体的には、以下のような箇所が候補になります。
- トグルスイッチの端子接続違い
- 制御基板への入力電圧不足
- テンション制御回路のリレー不良
- ブレーキ・クラッチへの出力不良
- パワーモジュール以外の制御部品故障
- 接点不良や端子の緩み
OFF時に電圧計が反応する場合に考えられること
質問の症状で特徴的なのは、OFFからONにしても電圧変化が少なく、OFFにすると電圧計がわずかに反応するという点です。
これは、制御回路が本来とは異なる状態になっている可能性があります。例えば、スイッチの接点が想定とは逆に働いている場合や、制御回路の入力側だけが動作して出力側が動いていない場合に似た症状が出ることがあります。
また、電圧計がどこの電圧を測定しているかも重要です。電源入力側を測定しているのか、テンション出力側を測定しているのかによって判断は変わります。出力側で電圧が出ていない場合は、スイッチ以降の回路を重点的に確認する必要があります。
パワーモジュール交換後も改善しない場合の確認箇所
パワーモジュールを交換しても症状が変わらない場合、原因はその前段または後段にある可能性が高くなります。
例えば、制御基板からパワーモジュールへ送られる制御信号が出ていなければ、新しいパワーモジュールでも動作しません。また、パワーモジュールから出力されても、テンションブレーキやクラッチ側に電流が流れていなければテンションは発生しません。
確認する順番としては、以下のように切り分けると原因を特定しやすくなります。
- トグルスイッチの導通確認
- スイッチON時の制御盤入力確認
- 制御基板の出力確認
- パワーモジュール入力・出力確認
- テンション機構側への電源確認
早期復旧のために確認したい安全なチェックポイント
電気制御盤内部の作業は感電や設備破損の危険がありますので、必ず電源を遮断して確認できる範囲で作業してください。
専門業者が来るまでに確認できる内容としては、交換したトグルスイッチの型式、端子番号、配線位置、旧品との比較、ヒューズや端子の緩み確認などがあります。
特に今回のように部品交換直後から発生した不具合の場合、最初に疑うべきなのは故障部品ではなく、交換部品の端子配置や仕様の一致です。
まとめ
グラビア印刷機の巻出しテンションが、トグルスイッチ交換後にかからなくなった場合、スイッチの電流容量が大きくなったこと自体が原因である可能性は低いです。
重要なのは、ON-ONスイッチの端子配置、接点動作、制御回路への信号伝達が正しく行われているかを確認することです。
また、ランプ点灯や電圧計の反応がある場合でも、テンション出力まで正常とは限りません。スイッチから制御基板、パワーモジュール、テンション機構まで順番に切り分けることで、原因を特定しやすくなります。

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