古文の選択問題では、一部分の言葉だけを見ると迷いやすいものがあります。特に今回のような琴の演奏場面では、誰が何を願い、誰が実際に演奏したのかを整理することが正解への近道になります。
この記事では、本文中の「鬼逃がさせたまへ」という表現に注目しながら、なぜ選択肢④が正しく、選択肢①が誤りなのかを丁寧に解説します。
まず本文の場面を整理する
この場面では、中納言(仲忠)が三の宮のために琴を演奏しようとしています。しかし、風が激しく吹き、天候が騒がしくなったため、中納言は演奏を途中でやめます。
本文の「今、曲一つ仕うまつらむとすれど、騒がしければ、えなむ。これに御手一つ遊ばして、鬼逃がさせたまへ」という部分が重要です。
現代語にすると、「今もう一曲演奏しようと思いますが、(風が騒がしくて)できません。そこで、あなたのお琴を一曲お弾きになって、鬼を追い払ってください」という意味になります。
「鬼逃がさせたまへ」は何を意味するのか
ここでいう「鬼」は、文字通りの鬼というより、病気や災いなど、人に害を与えるものを指しています。
つまり中納言は、尚侍のおとどに対して「あなたの素晴らしい琴の音で、悪いものを退けてください」とお願いしているのです。
このお願いは、単純に「子供が生まれたから琴を弾いてほしい」というものではありません。三の宮の病状を良くするため、また災いを避けるための願いとして琴の演奏を求めています。
選択肢④が正解になる理由
選択肢④では、「尚侍のおとどの琴の演奏は、子の誕生という自分にとって最上の折だから琴を弾いてほしいという仲忠の願いを受けたもので、その音色は言葉にできないすばらしさだった」と説明しています。
この選択肢で重要なのは、尚侍のおとどが仲忠の願いを受けて琴を弾いたこと、そしてその音色が「その音、さらに言ふ限りなし」と本文にある通り、非常に素晴らしいものだった点です。
本文では「君、『仲忠がためには、これにまさる折なむはべるまじき』と聞こえたまへば」とあります。「これにまさる折はない」とは、仲忠にとって今が最高の機会であるという意味です。これは子の誕生という特別な状況を指しており、選択肢④の内容と一致します。
選択肢①が不正解になる理由
選択肢①の誤りは、主に「仲忠の琴の演奏」について説明している点です。
本文では、仲忠はすでに「はうしやうといふ手を、はなやかに弾く」とあり、演奏しています。しかし、その後に風が強くなり、「えなむ」と言って演奏をやめています。
つまり、選択肢①が説明するような「我が子が生まれて得意になるあまり、誇らしげな歌声を交えてさまざまな音色を響かせたため、遠くまで聞こえるはなやかなものとなった」という内容は、本文の描写と合いません。
特に「歌声を交えて」という部分は本文にありません。また、「さまざまな音色を響かせたため遠くまで聞こえた」という説明も、本文の「琴の調べ合はせたる声、向かひて聞くよりも、遠くて響きたり」という部分とは関係しますが、これは演奏全体の評価であり、選択肢①のように仲忠の気持ちや子の誕生による得意さを表したものではありません。
古文の選択問題では「誰の行動か」を確認する
今回の問題で迷いやすいポイントは、仲忠と尚侍のおとどの二人がどちらも琴を弾いていることです。
古文の読解では、まず「誰が」「何をしたのか」を整理することが重要です。今回の場合は、以下のように整理できます。
| 人物 | 行動 |
|---|---|
| 仲忠 | 琴を弾くが、風が騒がしいため途中でやめる |
| 尚侍のおとど | 仲忠に頼まれて琴を弾き、その音色が絶賛される |
この整理ができれば、問4が尚侍のおとどの演奏について述べている④を選ぶべきだと分かります。
まとめ:④は尚侍のおとどの演奏内容を正しく説明している
「鬼逃がさせたまへ」は、仲忠が尚侍のおとどに対して、琴の力で災いを退けてほしいと頼んでいる表現です。
選択肢④は、仲忠の願いを受けて尚侍のおとどが琴を弾き、その音色が非常に素晴らしかったという本文内容と一致します。
一方、選択肢①は仲忠自身の演奏について誤った説明を加えており、特に「子の誕生によって得意になった」「歌声を交えた」という部分が本文にはないため不正解になります。


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