かご形誘導電動機のすべりはどう変化する?速度制御の仕組みをわかりやすく解説

工学

かご形誘導電動機では、回転磁界の速度と回転子の速度の差を表すすべりが、モーターの運転状態を理解するうえで重要な要素になります。では、実際にかご形誘導電動機のすべりはどのように変化しているのでしょうか。

すべりは負荷の大きさや電源周波数、電圧などによって変化します。この記事では、かご形誘導電動機の基本的な動作から、すべりが変化する理由や制御方法について詳しく解説します。

かご形誘導電動機とすべりの基本的な関係

誘導電動機は、固定子に作られる回転磁界によって回転子が回転する仕組みのモーターです。固定子の回転磁界の速度を同期速度、回転子自身の回転速度を回転速度と呼びます。

しかし、誘導電動機では回転子が同期速度と完全に同じ速度で回転することはありません。回転磁界との速度差があることで、回転子に電流が発生し、トルクが生まれます。

この速度差を割合で表したものが「すべり」です。すべりは次の式で表されます。

すべりs=(同期速度-回転子速度)÷同期速度

例えば、同期速度が1500回転毎分で回転子が1450回転毎分の場合、すべりは約3.3%になります。

負荷が変化するとすべりも変化する

かご形誘導電動機のすべりは、主にモーターにかかる負荷によって自然に変化します。負荷が大きくなると回転子の速度は少し低下し、回転磁界との差が大きくなるため、すべりが増加します。

逆に、負荷が小さい状態では回転子は同期速度に近づくため、すべりは小さくなります。

例えば、空回ししているポンプでは負荷が小さいためすべりは数%以下になります。一方で、重い荷物を運ぶコンベアでは負荷が増えるため、すべりが大きくなります。

かご形誘導電動機ではすべりを直接変えることは難しい

かご形誘導電動機の回転子は、鉄心に導体棒を埋め込み両端を短絡した単純な構造になっています。そのため、巻線形誘導電動機のように回転子抵抗を外部から調整してすべりを制御することはできません。

つまり、通常のかご形誘導電動機では、すべりは運転中の負荷によって自然に決まります。負荷が変化すると、それに応じて必要なトルクを発生するためにすべりも変化します。

この特徴が、かご形誘導電動機が構造が簡単で丈夫である一方、細かな速度制御が難しい理由の一つです。

インバータによってすべりを利用した速度制御を行う

現在の産業設備などでは、かご形誘導電動機の速度を変えるためにインバータが広く使われています。

インバータは電源周波数を変化させる装置です。誘導電動機の同期速度は周波数に比例するため、周波数を変えることでモーターの回転速度を調整できます。

例えば、50Hzで運転しているモーターに対して40Hzの電源を供給すると、回転磁界の速度自体が低下するため、モーターも低速で回転します。

このときも回転子は完全に同期することはなく、一定のすべりを保ちながら回転しています。

電圧や周波数によるすべりへの影響

誘導電動機のすべりは、電圧や周波数の変化によっても影響を受けます。特に負荷に対して十分なトルクを発生できない場合、回転速度が低下してすべりが増加します。

例えば、電圧が低下すると発生できるトルクが小さくなるため、同じ負荷を動かすにはより大きなすべりが必要になります。

そのため、安定した運転を行うには、適切な電源条件と負荷条件を維持することが重要です。

まとめ|かご形誘導電動機のすべりは負荷や制御方法で変化する

かご形誘導電動機のすべりは、回転磁界の速度と回転子速度の差によって決まり、主に負荷の変化によって自然に変化します。

負荷が増えると回転子速度が低下してすべりは大きくなり、負荷が減るとすべりは小さくなります。かご形誘導電動機では構造上すべりを直接調整することは難しいですが、インバータによって周波数を変えることで実用的な速度制御が可能です。

誘導電動機を理解するには、すべりは単なる損失ではなく、回転子に電流を発生させトルクを生み出すために必要な現象であることを理解することが重要です。

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