コバルトハイス2枚刃エンドミルは条件を上げられる?S45C・SS400加工での切削条件と注意点

工学

コバルトハイス(Co-HSS)の2枚刃エンドミルは、一般的なハイスエンドミルよりも耐熱性や耐摩耗性に優れているため、切削条件を高められる場合があります。しかし、単純に回転数や送りを上げればよいわけではなく、加工材質や工具径、切削方法によって適切な条件設定が必要です。この記事では、S45CやSS400の溝加工・側面加工におけるコバルトハイスエンドミルの特徴と、条件を上げる時の考え方を解説します。

コバルトハイスエンドミルが普通のハイスより強い理由

コバルトハイスは、通常の高速度鋼(ハイス)にコバルトを添加した工具材料です。コバルトを含むことで高温時の硬さが向上し、切削熱が発生する加工でも刃先の摩耗が進みにくくなります。

そのため、一般的なハイスエンドミルと比較すると、切削速度を高めたり、長時間加工したりする用途に向いています。特にS45Cなどの中炭素鋼や、SS400のような一般構造用鋼の加工では、耐久性の面でメリットがあります。

ただし、コバルトハイスだから必ず高速加工ができるというわけではありません。工具径、刃数、機械剛性、保持状態、切削油の有無などによって最適条件は変わります。

S45CやSS400の加工で条件を上げる時の考え方

S45CやSS400は比較的加工しやすい鉄系材料ですが、溝削りでは切りくずの逃げ場が少なく、側面加工よりも工具への負担が大きくなります。

コバルトハイス2枚刃エンドミルの場合、通常のハイス工具と比べて切削速度を少し高めに設定することは可能です。しかし、いきなり大幅に条件を上げるより、まずは回転数や送りを10〜20%程度上げて、切削音や刃先状態を確認する方法が安全です。

例えば、普通のハイスエンドミルで安定して加工できている条件がある場合、その条件を基準にして徐々に切削速度を上げることで、工具寿命とのバランスを確認できます。

溝加工と側面加工では適した条件が違う

同じエンドミル加工でも、溝加工と側面加工では工具への負荷が異なります。溝加工では刃全体が材料に接触しやすく、切りくず排出も難しいため、負荷が大きくなります。

そのため、S45CやSS400の溝加工では、側面加工よりも切削速度や送りを控えめに設定することが一般的です。特に深い溝や全刃当たりの加工では、無理に条件を上げると刃欠けや焼き付きの原因になります。

一方、側面加工では切削負荷が比較的安定するため、同じ工具でも溝加工より条件を上げやすい場合があります。

2枚刃エンドミルを使うメリットと注意点

2枚刃エンドミルは、刃数が少ないため切りくず排出性に優れています。そのため、溝加工やポケット加工など、切りくずがたまりやすい加工に適しています。

特に鉄系材料では、切りくずが詰まると摩擦熱が増えて工具寿命が短くなるため、2枚刃の排出性は大きなメリットになります。

ただし、刃数が少ない分、1刃あたりの送り量が大きくなりやすいため、送り条件の設定には注意が必要です。回転数だけでなく、1刃送り量を確認して調整することが重要です。

コバルトハイスエンドミルの切削条件を決めるポイント

切削条件を決める際は、工具メーカーが提示している推奨条件を基本にするのが安全です。そのうえで、加工機の性能や加工状況に合わせて調整します。

確認するポイントとしては、以下のようなものがあります。

  • 切削音が異常に高くないか
  • 切りくずが青色や黒色になるほど発熱していないか
  • 刃先に溶着が発生していないか
  • 加工面にビビリや筋が出ていないか

例えば、切削中に甲高い音が出たり、切りくずが赤熱する場合は条件が過大になっている可能性があります。その場合は回転数や送りを下げる必要があります。

まとめ|コバルトハイスは条件アップできるが加工内容に合わせた調整が必要

コバルトハイス2枚刃エンドミルは、通常のハイスエンドミルより耐熱性と耐摩耗性に優れているため、S45CやSS400の加工では条件を高められる可能性があります。

しかし、溝加工では切削負荷が大きくなるため、側面加工と同じ条件で加工することはおすすめできません。特に工具径や切込み量によって適正条件は大きく変わります。

最も良い方法は、現在使用しているハイスエンドミルの条件を基準にして、少しずつ切削速度や送りを上げながら、加工音・切りくず・仕上がりを確認することです。コバルトハイスの性能を活かすには、工具の強さだけでなく、加工条件とのバランスが重要になります。

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