非接地方式と一線地絡で健全相電圧が√3倍になる理由を図解で理解する|電験対策

工学

電験の勉強では、非接地方式の電路や一線地絡事故の計算で「健全相の対地電圧が√3倍になる」という内容が頻繁に登場します。しかし、なぜ突然√3倍になるのか、電圧の関係をイメージできず苦手に感じる方も多い分野です。この記事では、三相交流の電圧ベクトルの考え方を使って、非接地系統や一線地絡時に健全相電圧が上昇する理由を分かりやすく解説します。

三相交流における線間電圧と相電圧の関係

まず、三相交流では「相電圧」と「線間電圧」という2種類の電圧があります。発電機や変圧器の三相出力では、各相の電圧は120度ずつ位相がずれています。

例えば、中性点を基準にした三相電圧を考えると、それぞれの相電圧は以下のような関係になります。

A相=100V、B相=100V、C相=100Vのように大きさは同じですが、位相が120度ずれています。この3つのベクトルの差が線間電圧になります。

三相交流では、線間電圧は相電圧の√3倍になります。つまり、相電圧をEとすると、線間電圧は√3Eになります。

非接地方式では中性点が固定されていない

非接地方式とは、変圧器などの中性点を大地に直接接続していない方式です。この場合、通常時は各相の対地電圧はバランスしています。

例えば三相6.6kV配電系統では、線間電圧が6600Vの場合、各相の対地電圧は次のようになります。

相電圧=6600V÷√3=約3810V

つまり、通常時は各相が約3810Vの電圧で大地に対しています。

一線地絡が発生すると何が起こるのか

一線地絡とは、三相のうち1つの相が大地と接触する事故です。例えばA相が地絡すると、A相の電位は大地と同じ0Vになります。

ここで重要なのは、非接地方式では中性点が自由に動けるという点です。A相が大地に固定されることで、三相全体の電圧バランスが変化し、中性点の位置が移動します。

その結果、故障していないB相とC相の大地に対する電圧が上昇します。

なぜ健全相が√3倍になるのか

一線地絡時のポイントは、線間電圧は基本的に変化しないということです。例えばA相とB相の間の電圧は、事故前と同じ線間電圧を維持します。

しかし、A相が大地と同じ電位になるため、健全相から見た大地までの距離(電圧)が変化します。

通常時では、各相の対地電圧は線間電圧を√3で割った値でした。しかし、一線地絡後は健全相の対地電圧が線間電圧と同じ大きさになります。

つまり、通常時の対地電圧をEとすると、一線地絡後は√3Eになります。

ベクトルで見ると理解しやすい理由

三相交流の電圧は、単純な足し算ではなくベクトルとして考える必要があります。

通常時は三相の中心に中性点があり、その中心から各相へ伸びるベクトルが相電圧です。これを正三角形の中心から頂点へ向かう線として考えるとイメージしやすくなります。

一線地絡すると中性点の位置が変化し、健全相から地絡点までのベクトルが線間電圧と同じ長さになります。そのため、相電圧が線間電圧と同じになり、結果として√3倍に上昇します。

電験試験で覚えるべきポイント

電験の問題では、非接地方式や一線地絡の計算で次の関係を覚えておくと役立ちます。

  • 通常時の対地電圧=線間電圧÷√3
  • 非接地系統で一線地絡すると健全相の対地電圧=線間電圧
  • 健全相電圧は通常時の√3倍になる

ただ暗記するだけではなく、「地絡した相が大地に固定され、中性点が移動するため健全相の対地電圧が上がる」と理解しておくと応用問題にも対応できます。

まとめ

非接地方式で一線地絡が発生した場合、健全相の対地電圧が√3倍になる理由は、中性点が固定されていないため電圧の基準位置が変化するからです。

通常時は相電圧が線間電圧の1/√3ですが、一線地絡すると健全相の対地電圧は線間電圧と同じになります。その結果、元の相電圧と比較すると√3倍になります。

電験では頻出のテーマなので、「線間電圧は変わらない」「中性点が移動する」「健全相の対地電圧が線間電圧になる」という3点を押さえておくと理解しやすくなります。

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