造船会社の大手と中小の違い|設計体制・部署の分かれ方・年間建造隻数を解説

工学

造船業界では、同じ船を造る会社でも、大手造船会社と中小規模の造船所では設計や製造の進め方に大きな違いがあります。特に設計部門の分業体制や、機装・船装・電装・生産設計の関わり方は会社規模によって変わります。この記事では、造船会社の規模による組織体制の違いや、中堅造船会社がどの程度のペースで船を建造しているのかを分かりやすく解説します。

大手造船会社では設計部門が細かく分業されている

大手造船会社では、建造する船の種類や規模が大きく、設計業務も専門ごとに細かく分かれていることが一般的です。

例えば、船体の形状や強度を決める船体設計、エンジンや配管を担当する機装設計、電気設備を担当する電装設計、工場で効率よく建造するための生産設計など、それぞれ専門部署が存在します。

大型船の場合、設計する情報量が非常に多いため、一人の設計者がすべてを見ることは難しく、専門分野ごとの担当者が連携して一隻の船を完成させます。

中小・中堅造船会社では担当範囲が広くなることが多い

一方で、中小規模の造船会社では、大手ほど完全に分業されていないケースも多くあります。

造船所の規模や建造する船の種類によって異なりますが、一人の設計者が複数分野を担当することがあります。例えば、機装設計を担当しながら一部の船装関連の調整を行ったり、生産部門と直接打ち合わせをしたりすることもあります。

これは人員が少ないから単純に負担が大きいという意味ではなく、設計者が船全体を見る機会が多く、現場との距離が近いというメリットもあります。

中堅造船会社では設計者と現場担当者が近い環境になりやすい

質問にあるような「同じフロアに船装、機装、電装、生産設計の担当者がいる」というイメージは、中堅以下の造船会社では比較的よく見られる形です。

大手では部署間の正式な会議や設計変更の手続きを通して情報共有することが多いですが、中小造船所では隣の席や近い場所で直接相談することで問題を解決する場面があります。

例えば、機装担当者が配管ルートを検討している際に、すぐ近くの生産設計担当者へ「この配管なら現場で施工しやすいか」と確認するといった、現場密着型の仕事の進め方が行われることがあります。

造船設計で各部門はどのように連携するのか

船の設計は一つの部署だけで完結するものではありません。船体構造が決まると、その空間に機器や配管、電気設備を配置する必要があります。

例えば、船体設計が決めた区画に対して、機装設計が主機関やポンプ、配管経路を検討します。その後、電装設計がケーブルルートや電気機器配置を決め、生産設計が実際の建造方法を考えます。

そのため、規模が小さい造船所ほど各担当者同士の距離が近く、設計段階から現場の意見が反映されやすい傾向があります。

中堅造船会社は年間何隻程度建造するのか

造船会社の年間建造隻数は、建造する船の大きさによって大きく変わります。

例えば、大型タンカーや大型コンテナ船を建造する造船所では、年間数隻程度でも大きな事業規模になります。一方で、小型貨物船や内航船を中心に建造する造船所では、年間10隻以上を建造する場合もあります。

日本の中堅造船会社の場合、目安として年間数隻から十数隻程度を建造する企業が多く、建造能力や船種によって幅があります。

大手造船会社と中小造船会社で働き方はどう違うのか

大手造船会社では、高度な専門分野を深く追求できる環境があります。例えば、配管設計だけ、構造解析だけというように専門性を高めやすい特徴があります。

一方、中小造船会社では、一人が幅広い仕事に関わる機会があります。船の計画から建造、完成まで全体を見る経験を積みやすく、設計者として総合的な能力を身につけやすい環境ともいえます。

どちらが良いかは目的によって変わり、専門技術を磨きたい場合は大手、船づくり全体に関わりたい場合は中小造船会社が向いている場合があります。

まとめ

造船会社では、規模が大きくなるほど設計部門は細かく分業され、中小規模になるほど一人の担当範囲が広くなる傾向があります。

中堅造船会社では、機装・船装・電装・生産設計の担当者同士が近い距離で仕事をすることも多く、質問にあるような「同じフロアで前工程と後工程の担当者が連携する」という環境は十分にあり得ます。

年間建造隻数については船の種類によって異なりますが、中堅造船会社では年間数隻から十数隻程度を建造するケースが一般的です。造船業界を見る際は、単純な隻数だけでなく、建造する船の大きさや設計体制にも注目すると会社ごとの特徴が分かります。

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