江戸時代の古文書「以手紙得御意候、然者就御用明十六日朝六ツ半時出立いたし候」の現代語訳と読み解き方

文学、古典

江戸時代の古文書は、現在とは異なる言葉遣いや独特の書式が使われているため、現代の文章として読むには知識が必要です。特に「以手紙得御意候」「然者就御用」などの表現は、当時の手紙でよく使われた定型句です。この記事では、古文書の内容を現代語に訳しながら、当時の人々がどのようなやり取りをしていたのかを分かりやすく解説します。

原文の内容

今回の文書は、江戸時代の書状でよく見られる形式の文章です。原文は以下のような内容です。

「以手紙得御意候、然者就御用明十六日朝六ツ半時出立いたし候ニ付、此先觸早々順達ニ相成候様いたし度候、且御證文長持一棹、此持人足馬二疋前封限之通難波町裏川岸高瀬清三郎宅え被相廻候様致し度候、先者右御引合得御意度如斯御座候以上。」

現代語訳

現代の言葉にすると、おおよそ次のような意味になります。

「この手紙をもってご挨拶申し上げます。さて、用事のため、16日の朝6時半頃に出発することになりましたので、この先触れ(事前の連絡文書)が早く順番に回覧されるようにしていただきたいと思います。

また、証文を入れた長持ち一棹と、それを運ぶ人足、馬二匹については、以前に封書でお知らせした内容の通り、大阪難波町裏の川岸にある高瀬清三郎宅へ回送していただきますようお願いいたします。

まずはその件についてご連絡申し上げたく、このようにお知らせいたします。以上。」

古文書に出てくる特徴的な表現の意味

「以手紙得御意候(この手紙をもってご意向を伺います)」は、手紙の冒頭で使われる挨拶表現です。現代の「書面にて失礼いたします」「まずは書面にてご連絡申し上げます」に近い意味になります。

「然者(しかれば)」は、「さて」「そこで」という意味です。前の話を受けて、次の用件を伝える時に使われました。

「明十六日朝六ツ半時出立いたし候」の「六ツ半」は江戸時代の時刻表現で、現在の午前6時頃にあたります。当時は不定時法が使われていたため、季節によって多少時間の長さは変化しました。

文書に登場する「長持」「人足」「馬二疋」とは

「御證文長持一棹」とある部分の長持とは、衣類や書類などを収納して運ぶための大型の木箱です。「一棹(ひとさお)」は長持を数える単位です。

この文書では「御證文(証文)」を長持に入れて運ぶことになっており、重要な書類や公的な文書を移送する場面だったと考えられます。

「持人足」は荷物を運ぶ人夫、「馬二疋」は荷物運搬用の馬2頭を意味します。当時、大量または重要な荷物を移動させる際には、人足や馬を手配する必要がありました。

「先觸」とは何を意味するのか

本文中の「此先觸」とは、先触(さきぶれ)のことです。江戸時代には、役人や大名行列などが移動する際、事前に宿場や関係者へ知らせる文書を回覧していました。

先触には、いつ誰が通行するのか、どのような準備が必要なのか、人馬をどれだけ用意するのかなどが記されていました。

今回の文章では「早々順達ニ相成候様」とあり、先触を速やかに次の担当者へ回してほしいという依頼が書かれています。

この書状から分かる江戸時代の社会背景

この文書からは、江戸時代における情報伝達や物流の仕組みを知ることができます。当時は現在のような電話やメールがなかったため、重要な連絡は書状を人から人へ届ける形で行われました。

また、証文を長持に入れ、人足や馬を準備して運ぶという記述から、単なる私信ではなく、重要な書類や物資の移送に関わる連絡だった可能性があります。

例えば、役所関係の書類移動や商取引、領地間の連絡などでは、このような形式の文書が多く使われていました。

まとめ:古文書は定型表現と背景を知ると読みやすくなる

「以手紙得御意候、然者就御用明十六日朝六ツ半時出立いたし候」という文章は、現代風にすると「書面にて連絡します。16日の朝6時半頃に出発するため、先触を早く回してください。また証文を入れた長持と運搬人足・馬を指定場所へ送ってください」という内容です。

江戸時代の古文書は、一つ一つの言葉だけを見ると難しく感じますが、「候文(そうろうぶん)」や当時の習慣を理解すると内容を読み解きやすくなります。

古文書を読む際は、単純な現代語訳だけでなく、書かれた時代背景や社会制度にも注目すると、より深く文書の意味を理解できます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました