統計の検定問題では、計算式だけを見ると「なぜこの値を使うのか」「どこまで計算すればいいのか」が分かりにくく感じることがあります。特に母比率の検定では、標本から得られた成功率が基準値を上回っているといえるかを判断します。この記事では、バスケットボールのシュート成功率を例に、片側検定の考え方や計算方法、計算結果の判断方法を詳しく解説します。
母比率の検定とは何か
母比率の検定とは、ある割合について、標本から得られた結果をもとに「本当にその割合が基準より大きい(または小さい)といえるか」を判断する方法です。
例えば、バスケット選手が普段どれくらいシュートを成功させるのかを知りたい場合、すべてのシュートを見ることは難しいため、一部の練習結果を調べます。その結果から、本当の成功率について判断します。
ただし、たまたま成功回数が多くなることもあります。そのため、「偶然では説明できないほど結果が大きいのか」を統計的に確認する必要があります。
問題文から仮説を立てる方法
今回の問題では、125回シュートを打って75回成功しています。標本での成功率は、75÷125=0.6です。
知りたいことは「この人の本当の成功率は0.5より大きいといえるか」ということなので、母比率をpとして次のように仮説を立てます。
帰無仮説:H0:p=0.5
対立仮説:H1:p>0.5
対立仮説が「p>0.5」となっているため、今回は右側検定(片側検定)になります。
検定統計量の計算方法
母比率の検定では、次の式を使ってz値を求めます。
z=(標本比率-帰無仮説の比率)÷√(帰無仮説の比率×(1-帰無仮説の比率)÷標本数)
今回の場合、標本比率は0.6、帰無仮説で設定した比率は0.5、標本数は125なので、
z=(0.6-0.5)÷√(0.5×0.5÷125)
となります。
分母を計算すると、√(0.25÷125)=√0.002となり、約0.0447です。
したがって、
z=0.1÷0.0447≈2.236
となります。
ここで注意したいのは、質問の計算では分母に0.6×0.4を使っていますが、母比率検定の場合、帰無仮説が正しいと仮定して計算するため、分母には0.5×0.5を使います。
有意水準5%での判断方法
有意水準5%の右片側検定では、棄却域の境界となる値は約1.64です。
今回求めたz値は約2.236なので、
2.236>1.64
となり、帰無仮説は棄却されます。
つまり、「成功率が0.5以下である」という仮説では、この結果は偶然起こりにくいと判断できます。
したがって、この人のシュート成功率は0.5より大きいと統計的に判断できます。
計算機を使って平方根を求めてもよいのか
検定問題では、平方根や小数の計算が複雑になることがあります。そのため、電卓を使って近似値を求めること自体は数学的には問題ありません。
ただし、試験では電卓が使用できない場合もあるため、よく使う平方根の近似や計算の流れを理解しておくことが大切です。
今回の場合も、√0.002の値を正確に求めることより、「z値が1.64を超えるかどうか」を判断することが目的です。
母比率検定で間違えやすいポイント
母比率の検定では、標本から得られた成功率をそのまま分散の計算に使わないことが重要です。
例えば今回、0.6×0.4を使いたくなるかもしれません。しかし、検定では「帰無仮説が正しい世界」を仮定して、そのときに現在の結果がどれくらい珍しいかを調べます。
そのため、分散の計算では帰無仮説の値である0.5を使います。
まとめ
バスケットボールのシュート成功率の問題では、母比率の片側検定を利用して「成功率が0.5より大きいといえるか」を判断します。
仮説設定はH0:p=0.5、H1:p>0.5で正しく、考え方の方向性は合っています。ただし、検定統計量の計算では分母に標本成功率0.6ではなく、帰無仮説の比率0.5を使う点に注意が必要です。
検定では計算結果だけでなく、「どの仮説を基準にして珍しさを判断しているのか」を理解すると、さまざまな問題に対応できるようになります。


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