全天空照明の計算方法を解説|立体角投射率・形態係数・直接照度・間接照度の求め方

工学

建築環境工学における天空光による室内照度計算では、光束発散度、立体角投射率、形態係数、直接照度、間接照度など複数の概念を組み合わせて計算します。特に開口部が天井面の場合と壁面の場合では、入射する光束の考え方が異なるため注意が必要です。この記事では、全天空水平面照度Es=20000lx、一辺12m・高さ3mの正方形室を例に、計算の流れと各式の意味を詳しく解説します。

1. 天空の光束発散度Msの求め方

光束発散度Mとは、ある面から単位面積あたりに放射される光束を表す量で、単位はlm/m²(=lx)です。均等拡散面では、光束発散度と照度の関係はM=ρEで表されます。

問題文では天空を完全拡散面として考え、天空の反射率ρ=0.6、全天空水平面照度Es=20000lxなので、

Ms=ρEs=0.6×20000=12000lx

となります。したがって天空の光束発散度は12000lm/m²です。

2. 立体角投射率Uと全壁面の立体角投射率

立体角投射率とは、ある点から見た面がどれだけ光を受ける範囲を占めているかを表す割合です。照明計算では、その面から直接届く光の割合を求めるために利用します。

全方向からの立体角投射率の合計は1になるため、天井面と壁面について、

Ucp+Uwp=1

となります。問題文より天井面の立体角投射率Ucp=0.831なので、

Uwp=1-0.831=0.169

となります。この計算は正しく求められています。

3. 形態係数Fと床面に対する壁面の形態係数

形態係数とは、ある面から放射された光束が別の面へ到達する割合を表す係数です。二つの面の位置関係や大きさによって決まり、間接照度計算で重要になります。

床面から見た場合、天井面と壁面へ向かう形態係数の合計は1になるため、

Fcf+Fwf=1

となります。

問題文より床面から天井面への形態係数Fcf=0.632なので、

Fwf=1-0.632=0.368

となります。この部分も計算は正解です。

4. 天井面開口の場合の直接照度計算

天井面をすべて開口とする場合、天井面は天空光束発散度Msを持つ均等拡散面として扱います。

点Pにおける直接照度は、光束発散度と立体角投射率の積で求めます。

Edcp=MsUcp

=12000×0.831

=9972lx

したがって、点Pの直接照度Edcpは9972lxとなります。この計算も正しいです。

床面全体の入射光束Φcfの求め方

床面全体に入射する光束は、床面積と平均直接照度から求めます。まず床面積を求めます。

Sf=12×12=144m²

床面全体への入射光束は、形態係数を利用して、

Φcf=Ms×Sc×Fcf

で求めます。

天井面積Scも12×12=144m²なので、

Φcf=12000×144×0.632

=1092096lm

となります。

床面平均直接照度Edcfは、床面に入射する光束を床面積で割ることで求めます。

Edcf=Φcf/Sf

=1092096÷144

=7584lx

5. 天井面開口の場合の間接照度計算

間接照度は、室内面で反射を繰り返した光による照度です。第一回反射光束Φc0は、床面へ入射した光束のうち、反射によって室内へ戻る光束として考えます。

Φc0=Φcf×ρ

=1092096×0.6

=655258lm

平均反射率ρc0は、天井以外の室内面の反射率を考慮します。天井面以外の床面と壁面が反射面になるため、

ρc0=0.6

として計算します。

間接照度略算式より、

Erc=Φc0×ρc0/(Sf+Sw+Sc)(1-ρc0)

で求められます。

室内表面積は、床面144m²、天井面144m²、壁面は4面なので、

Sw=4×12×3=144m²

したがって全表面積は432m²です。

Erc=655258×0.6/(432×(1-0.6))

≈2275lx

6. 天井面開口時の最終照度

点Pの照度は直接照度と間接照度の合計です。

Ecp=Edcp+Erc

=9972+2275

≈12247lx

床面平均照度は、

Ecf=Edcf+Erc

=7584+2275

≈9859lx

となります。

7. 壁面開口の場合の考え方

壁面のみを開口とする場合は、床面に対して壁面が天空光束発散度Msを持つ均等拡散面として働くと考えます。

点Pの直接照度は、

Edwp=MsUwp

=12000×0.169

=2028lx

となります。

また床面への入射光束は、

Φwf=Ms×Sw×Fwf

=12000×144×0.368

=635904lm

です。

床面平均直接照度は、

Edwf=Φwf/Sf

=635904÷144

=4416lx

8. 壁面開口時の間接照度と最終照度

第一回反射光束は、

Φw0=Φwf×ρ

=635904×0.6

=381542lm

となります。

間接照度は、

Erw=381542×0.6/(432×0.4)

≈1325lx

です。

したがって点Pの照度は、

Ewp=Edwp+Erw

=2028+1325

≈3353lx

床面平均照度は、

Ewf=Edwf+Erw

=4416+1325

≈5741lx

となります。

9. 天井開口と壁開口の照度比較

天井面積と壁面積は、

Sc=12×12=144m²

Sw=4×12×3=144m²

で同じになります。

しかし直接照度を比較すると、

Edwp/Edcp=2028/9972

≈0.203

となり、壁面開口の場合は天井開口の場合の約20%程度の直接照度しか得られません。

これは天井面が床面に対して大きな立体角投射率を持ち、効率よく天空光を取り込めるためです。

まとめ|照度計算では光束・立体角投射率・形態係数の関係を理解することが重要

この問題では、最初に求めたMs=12000lx、Uwp=0.169、Fwf=0.368は正しく計算できています。

その後の計算では、直接照度は「光束発散度×立体角投射率」、床面入射光束は「光束発散度×開口面積×形態係数」、平均照度は「光束÷受照面積」で求めることがポイントです。

また、同じ面積の開口でも天井開口の方が効率よく光を取り込めるため、建築照明計画では開口位置や形状が重要になることが分かります。

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