多変数関数のテイラーの定理では、1変数の場合と同じように、ある点の周辺で関数を多項式として近似します。ただし、2変数関数ではx方向とy方向の偏微分を使うため、初めは式の作り方が分かりにくく感じることがあります。ここでは、f(x,y)=e^xcosyについて、中心点(a,b)=(0,π/4)、次数n=2の場合のテイラー展開と剰余項の求め方を順番に解説します。
2変数関数のテイラーの定理の基本形
2変数関数f(x,y)を点(a,b)の周りで2次まで展開する場合、テイラーの公式は次の形になります。
f(x,y)=f(a,b)+f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)+1/2{f_xx(a,b)(x-a)^2+2f_xy(a,b)(x-a)(y-b)+f_yy(a,b)(y-b)^2}+R_2
ここで、f_xはxについての偏微分、f_yはyについての偏微分を表します。また、R_2が2次まで展開したときの剰余項です。
まず偏微分を求める
今回の関数はf(x,y)=e^xcosyです。まず1階偏導関数を求めます。
xで微分すると、e^xはそのまま残るので、
f_x(x,y)=e^xcosy
となります。
yで微分すると、cosyの微分が-sinyになるため、
f_y(x,y)=-e^xsiny
となります。
次に2階偏導関数を求めます。
f_xx(x,y)=e^xcosy
f_xy(x,y)=-e^xsiny
f_yy(x,y)=-e^xcosy
となります。
中心点(a,b)=(0,π/4)で値を代入する
次に、すべての偏導関数にx=0、y=π/4を代入します。
e^0=1、cos(π/4)=√2/2、sin(π/4)=√2/2なので、
f(0,π/4)=√2/2
f_x(0,π/4)=√2/2
f_y(0,π/4)=-√2/2
f_xx(0,π/4)=√2/2
f_xy(0,π/4)=-√2/2
f_yy(0,π/4)=-√2/2
となります。
2次のテイラー多項式を作る
求めた値をテイラーの公式に代入します。
f(x,y)≈√2/2+(√2/2)x-(√2/2)(y-π/4)+1/2{(√2/2)x^2+2(-√2/2)x(y-π/4)-√2/2(y-π/4)^2}
整理すると、2次までの近似式は、
f(x,y)≈√2/2+(√2/2)x-(√2/2)(y-π/4)+(√2/4){x^2-2x(y-π/4)-(y-π/4)^2}
となります。これが点(0,π/4)を中心とした2次のテイラー展開です。
剰余項R₂の求め方(tを使った表現)
問題で指定されているt∈(0,1)を使う場合、多変数テイラーの剰余項は次のように表します。
R_2=1/3!{f_xxx(a+t(x-a),b+t(y-b))(x-a)^3+3f_xxy(a+t(x-a),b+t(y-b))(x-a)^2(y-b)+3f_xyy(a+t(x-a),b+t(y-b))(x-a)(y-b)^2+f_yyy(a+t(x-a),b+t(y-b))(y-b)^3}
今回の場合はa=0、b=π/4なので、代入すると評価点は、
(tx,tπ/4+t(y-π/4))=(tx,π/4+t(y-π/4))
のようになります。この点で3階偏導関数を評価したものが剰余項になります。
3階偏導関数を利用した剰余項の具体例
3階偏導関数は以下のようになります。
f_xxx=e^xcosy
f_xxy=-e^xsiny
f_xyy=-e^xcosy
f_yyy=e^xsiny
したがって剰余項は、
R_2=1/6{e^{tx}cos(π/4+t(y-π/4))x^3-3e^{tx}sin(π/4+t(y-π/4))x^2(y-π/4)-3e^{tx}cos(π/4+t(y-π/4))x(y-π/4)^2+e^{tx}sin(π/4+t(y-π/4))(y-π/4)^3}
となります。これが指定されたt∈(0,1)を用いた剰余項の形です。
まとめ|テイラー展開は偏微分して中心点を代入する流れを覚える
f(x,y)=e^xcosyの2変数テイラー展開では、まず1階・2階偏導関数を求め、中心点(0,π/4)で値を計算して公式に代入します。
重要なのは、2変数の場合でも基本的な流れは1変数のテイラー展開と同じであり、「必要な偏微分を求める→中心点で評価する→公式に代入する」という手順を守ることです。
剰余項については3階偏導関数を用いて、指定されたt∈(0,1)の点で評価する形になります。公式を丸暗記するだけでなく、どの微分が必要なのかを理解すると、別の関数でも同じ方法で解けるようになります。


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