一次変換を学ぶと、「なぜ変換を表す行列がf(e₁)、f(e₂)を並べた形になるのか」と疑問に感じることがあります。これは一次変換が、基底ベクトルの移り方を知るだけで空間全体の変換を決定できるという性質を持っているためです。この記事では、f:R²→R²の一次変換について、なぜ表現行列が(f(e₁)、f(e₂))になるのかを基底と線形性の考え方から分かりやすく解説します。
一次変換と行列の関係
一次変換(線形変換)とは、ベクトルの足し算と定数倍を保つ写像のことです。つまり、ベクトルx,yと定数a,bに対して、
f(ax+by)=af(x)+bf(y)
が成立する変換を指します。
この性質があるため、すべてのベクトルの変換結果を調べる必要はありません。基本となるベクトルの変換だけ分かれば、他のすべてのベクトルの変換を計算できます。
e₁とe₂はR²の基底ベクトル
R²では、x軸方向の単位ベクトルe₁とy軸方向の単位ベクトルe₂を使うと、任意のベクトルを表すことができます。
例えば、ベクトルv=(x,y)は、
v=xe₁+ye₂
と書けます。
ここでe₁=(1,0)、e₂=(0,1)です。この2つのベクトルがR²全体を表すための基準(基底)になります。
一次変換では基底の移り方ですべてが決まる
ベクトルv=xe₁+ye₂に一次変換fを作用させると、線形性によって、
f(v)=f(xe₁+ye₂)
=xf(e₁)+yf(e₂)
となります。
つまり、任意のベクトルの変換結果は、f(e₁)とf(e₂)が分かれば計算できます。
例えば、e₁が変換後にどこへ移動するか、e₂が変換後にどこへ移動するかが分かれば、それを組み合わせることで平面上のすべての点の移動を求められます。
なぜ行列の列にf(e₁)、f(e₂)を並べるのか
行列は、ベクトルに掛けることで変換を表します。一般的に2×2行列を、
A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}
とすると、e₁=(1,0)を掛けた結果は、
Ae₁=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a\\c\end{pmatrix}
になります。
つまり、行列の第1列はe₁がどこへ移動するかを表しています。同様に、行列の第2列はe₂がどこへ移動するかを表します。
そのため、一次変換fを表す行列Aは、
A=(f(e₁) f(e₂))
という形になります。
具体例で表現行列を確認する
例えば、一次変換fによって、
f(e₁)=(2,1)、f(e₂)=(-1,3)
になるとします。
この場合、表現行列は、
A=\begin{pmatrix}2&-1\\1&3\end{pmatrix}
になります。
実際に任意のベクトル(x,y)を変換すると、
A\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=x f(e₁)+y f(e₂)
となり、一次変換の定義通りの結果が得られます。
まとめ|一次変換の行列は基底ベクトルの像を並べたもの
一次変換f:R²→R²の表現行列が(f(e₁)、f(e₂))と表される理由は、e₁とe₂がR²の基底であり、一次変換では基底の変換結果だけで全体の変換が決まるからです。
行列の各列には、それぞれ基底ベクトルが移った先のベクトルが入ります。そのため、第1列にはf(e₁)、第2列にはf(e₂)が配置されます。
この考え方はR²だけでなく、より高次元の線形代数でも同じであり、行列を使って変換を表す基本的な仕組みになっています。


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