有理関数の積分では、分母の形によって部分分数分解の形が決まり、積分結果に対数や逆三角関数などが現れることがあります。今回は、∫(ax²+bx+c)/((x-p)²(x-q)²)dxがどのような条件で有理関数になるのかを、分母の構造と部分分数分解を利用して考えます。
問題の式と「有理関数になる」とは何か
考える積分は、
I=∫(ax²+bx+c)/((x-p)²(x-q)²)dx
です。ただし、pとqは異なる定数とします。
ここでいう「積分が有理関数となる」とは、積分後の結果がxの多項式や分数式だけで表され、logやarctanなどの超越関数を含まないことを意味します。
有理関数の積分では、分母に一次式の1乗が残るとlogが発生し、二次式などの形によってはarctanが現れることがあります。そのため、部分分数分解したときの項に注目する必要があります。
部分分数分解の形を考える
分母は、
(x-p)²(x-q)²
という2つの重根を持つ形です。
したがって、分子が2次式の場合、部分分数分解は一般に、
(ax²+bx+c)/((x-p)²(x-q)²)
=A/(x-p)+B/(x-p)²+C/(x-q)+D/(x-q)²
という形になります。
ここで積分すると、
A/(x-p)やC/(x-q)の項から、
log|x-p|、log|x-q|
が発生します。
つまり、有理関数だけで表すためには、1次の分母を持つ項が消える必要があります。
対数項が消える条件を求める
部分分数分解したときのAとCが0になれば、積分後にlogは現れません。
つまり、
A=0、C=0
が必要条件になります。
この条件を求めるために、分子を分母の形に合わせて考えます。
A/(x-p)+C/(x-q)のような項は、分母の単純な極に対応しています。その係数が0になる条件は、分子がそれぞれの重解で0になることです。
具体的には、分子を
N(x)=ax²+bx+c
とすると、
N(p)=0、N(q)=0
が必要になります。
条件式を具体的に求める
N(p)=0より、
ap²+bp+c=0
となります。
また、N(q)=0より、
aq²+bq+c=0
となります。
したがって、有理関数だけで積分結果を表すための条件は、
ap²+bp+c=0
aq²+bq+c=0
の2つの式を満たすことです。
つまり、二次式ax²+bx+cがx=pおよびx=qを根として持つ必要があります。
このことから、分子は、
ax²+bx+c=a(x-p)(x-q)
の形になる必要があります。
条件を満たした場合の積分の形
もし、
ax²+bx+c=a(x-p)(x-q)
であれば、元の関数は、
a(x-p)(x-q)/((x-p)²(x-q)²)
となります。
約分すると、
a/((x-p)(x-q))
になります。
さらに部分分数分解すると、
a/((x-p)(x-q))=a/(p-q)×(1/(x-p)-1/(x-q))
となり、一般にはlogが出現します。
したがって、ここで注意が必要です。単純に分子が分母の因子を持つだけでは十分ではなく、log項の係数まで確認する必要があります。
最終的な有理関数条件の確認
実際に積分結果を有理関数にするには、部分分数分解後に1/(x-p)と1/(x-q)の項が完全になくなる必要があります。
そのためには、部分分数分解の係数AとCをともに0にする条件を満たす必要があります。
しかし、分子が2次式である場合、(x-p)²(x-q)²という4次の分母に対して、一般的には2つの重根部分に対応する条件だけでは不足します。
実際には、分子が定数倍の(x-p)²(x-q)²に含まれる形でない限り、積分結果にlog項が残ります。
分子の次数は2なので、分母全体を打ち消すことはできません。そのため、通常のa,b,cでは積分結果を完全な有理関数にすることはできません。
まとめ|有理関数の積分条件は部分分数分解で判断する
∫(ax²+bx+c)/((x-p)²(x-q)²)dxが有理関数になるかを調べるには、部分分数分解したときに1次の分母を持つ項が残るかどうかを確認します。
1/(x-p)や1/(x-q)の項が存在すると積分結果にlogが現れるため、有理関数にはなりません。
この問題では、分子が2次式であることから分母の4次の重根構造を完全には打ち消せず、一般的には有理関数だけで表すことはできません。有理関数の積分では、部分分数分解後の各項の形を見ることが最も重要な判断ポイントになります。


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