確率が高いはずの出来事が起こらなかったとき、「その前提は本当に正しいのか」と疑いたくなることがあります。例えば、表が出る確率70%、80%、90%とされる3種類のコインを4回ずつ投げ、すべて裏が出た場合、どのコインの性質が疑わしいのでしょうか。
この記事では、確率と統計的な検定の考え方を使って、観測された結果がどの程度珍しいものなのかを比較しながら解説します。
まずは4回すべて裏が出る確率を計算する
コインA、B、Cについて、それぞれ表が出る確率を考えます。裏が出る確率は表の確率の反対なので、以下になります。
| コイン | 表の確率 | 裏の確率 | 4回連続で裏の確率 |
|---|---|---|---|
| A | 70% | 30% | 0.3⁴=0.0081(0.81%) |
| B | 80% | 20% | 0.2⁴=0.0016(0.16%) |
| C | 90% | 10% | 0.1⁴=0.0001(0.01%) |
つまり、4回すべて裏が出るという結果は、Aでも約123回に1回、Bでは約625回に1回、Cでは1万回に1回程度しか起こらない珍しい現象です。
確率だけを見ると、Cが最も起こりにくい結果なので、Cについて最も強く疑いを持つことになります。
珍しい結果が出たからといって必ず間違いとは限らない
ここで重要なのは、「起こる確率が低い」ことと「絶対に間違っている」ことは同じではないという点です。
例えば、表が90%出るコインでも、1万回に1回程度は4回連続で裏になる可能性があります。その1回が偶然観測された可能性もあります。
統計では、珍しい結果を見たときに「偶然では説明しにくい」と判断するための基準を設定します。これを仮説検定と呼びます。
統計的にはどのコインが一番疑わしいのか
もし「本当にAは70%、Bは80%、Cは90%の確率で表が出る」という仮説をそれぞれ検証するなら、観測された結果の起こりにくさを比較します。
4回すべて裏という結果が起こる確率は、
- A:0.81%
- B:0.16%
- C:0.01%
となります。
この数字が小さいほど、「そのコインは本当にその確率なのか」という疑問が強くなります。そのため、統計的にはCが最も疑わしく、次にB、最後にAという順番になります。
ただし、これは「Cが偽物だと証明された」という意味ではありません。「Cという仮定のもとでは、この結果は非常に珍しい」という意味です。
ベイズ統計で考えると結論は少し変わる
さらに詳しく考える場合、ベイズ統計という方法を使います。これは「観測結果を見た後で、どの仮説がもっともありそうか」を計算する考え方です。
例えば、最初からA、B、Cが同じ確率で存在すると考えるなら、4回全部裏という結果を見た後ではCの可能性が大きく下がります。
なぜなら、Cはもともとこの結果を起こす確率が非常に低いからです。一方でAは同じ結果を比較的起こしやすいため、まだ信頼しやすくなります。
つまり、「結果の珍しさ」と「もともとの仮定の信頼度」の両方を考える必要があります。
実際の実験では何回試せば判断できるのか
4回だけの試行では、偶然の影響が大きくなります。統計的にコインの性質を調べたい場合は、もっと多くの回数を投げる必要があります。
例えば90%表が出るコインなら、100回投げた場合に平均90回程度表が出るはずです。もし100回投げて表が30回しか出ないなら、「本当に90%なのか」という疑いは非常に強くなります。
少ないデータでは偶然の偏りが起こりやすく、多くのデータを集めるほど本来の確率に近づいていきます。
まとめ|4回連続で裏なら90%表のコインが最も疑わしい
表が出る確率70%、80%、90%のコインをそれぞれ4回投げてすべて裏が出た場合、統計的には90%表が出ると言われたコインCが最も疑わしい結果になります。
理由は、4回連続で裏になる確率がCでは0.01%と非常に低いためです。ただし、確率が低い出来事でも現実には起こるため、この結果だけでCが間違いだと断定することはできません。
統計では「どれくらい珍しい結果なのか」を数値で評価し、十分なデータを集めながら判断します。今回の例は、確率と統計的推論の基本を理解するための代表的なケースと言えます。


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