複素積分を使わずに解く定積分 ∫[0,π] log(1-2a cosx+a²)dx の求め方

大学数学

三角関数を含む対数積分は一見すると難しく見えますが、式の形を変形することで複素積分を使わずに解くことができます。特に1-2a cosx+a²という形は、三角関数の性質を利用すると簡単な形に整理できます。

この記事では、|a|≠1という条件のもとで、積分値を求める方法を順番に解説します。フーリエ展開などの高度な方法ではなく、実数範囲で理解できる考え方を中心に説明します。

積分する式の形を整理する

求める積分を

I=∫[0,π]log(1-2a cosx+a²)dx

とおきます。

まず、被積分関数の中身を次のように変形します。

1-2a cosx+a²=(1-a)²+2a(1-cosx)

また、三角関数の恒等式

1-cosx=2sin²(x/2)

を使うと、

1-2a cosx+a²=(1-a)²+4a sin²(x/2)

となります。ただし、この形から直接積分するのはまだ難しいため、別の見方をします。

因数分解して対称性を利用する

重要なのは、

1-2a cosx+a²=(1-ae^{ix})(1-ae^{-ix})

という形です。

ただし、ここでは複素積分を使うのではなく、この式から得られる実数の性質を利用します。

実際には、

log(1-2a cosx+a²)=log|1-ae^{ix}|²

という形になり、これは円周上の平均値を考える問題として扱えます。

|a|<1の場合の計算

まず、|a|<1の場合を考えます。

このとき、次のフーリエ級数が成立します。

log(1-2a cosx+a²)=-2Σ(n=1∞)(a^n/n)cos(nx)

これは対数の展開

log(1-z)=-Σ(n=1∞)z^n/n

を利用したものです。

ここで0からπまで積分すると、

∫[0,π]cos(nx)dx=0

となるため、すべての項が消えます。

したがって、

I=0

となります。

|a>1の場合の処理

次に|a|>1の場合を考えます。

この場合は、式をa²でくくります。

1-2a cosx+a²=a²(1-2(1/a)cosx+1/a²)

したがって、対数を取ると、

log(1-2a cosx+a²)=2log|a|+log(1-2(1/a)cosx+1/a²)

となります。

ここで1/aは|1/a|<1なので、先ほどの結果を利用できます。

よって、

∫[0,π]log(1-2(1/a)cosx+1/a²)dx=0

です。

残る定数部分だけを積分すればよいため、

I=∫[0,π]2log|a|dx

=2πlog|a|

となります。

最終的な答え

以上より、条件|a|≠1のもとでは、場合分けによって結果が決まります。

条件 積分値
|a|<1 0
|a|>1 2πlog|a|

つまり、

I=2πmax(log|a|,0)

とまとめることもできます。

この積分で重要なポイント

この問題のポイントは、直接対数を積分しようとしないことです。三角関数を含む対数積分では、式の対称性や級数展開を利用すると大きく簡単になります。

また、|a|>1の場合にはa²でくくって|1/a|<1の形に変換することで、|a|<1の場合の結果を利用できます。

この考え方は、複素解析を使わない実解析の範囲でもよく登場する手法であり、フーリエ級数や調和解析の基本的な例としても知られています。

まとめ

積分

∫[0,π]log(1-2a cosx+a²)dx

は、複素積分を使わなくてもフーリエ展開と式変形によって求めることができます。

結果は、

|a|<1なら0、|a|>1なら2πlog|a|

となります。

難しく見える対数と三角関数の組み合わせでも、まず式の構造を見ることで解法の方向性を見つけることが重要です。

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