熱核積分とガウス関数を用いた証明|F(t,x)の積分が元の関数fの積分と一致する理由

大学数学

大学数学の解析学では、ガウス関数を用いた熱方程式の解や積分変換について学ぶ機会があります。特に、F(t,x)=∫R P(t,x-y)f(y)dyのような形で定義される関数について、x方向に積分した値が元の関数fの積分と一致することを示す問題は、フビニの定理やガウス積分の性質を理解する重要な例題です。ここでは、条件を確認しながら証明の流れを解説します。

問題で定義されているF(t,x)の意味

与えられた関数は、熱核と呼ばれるガウス型の関数を用いて定義されています。

P(t,x)=1/√(4πt)e^(-x²/(4t))

であり、F(t,x)は一般的に次のように表されます。

F(t,x)=∫R P(t,x-y)f(y)dy

これは関数fと熱核Pの畳み込みを表しています。今回示すべきことは、任意のt>0に対して、

∫R F(t,x)dx=∫R f(x)dx

となることです。

積分の順序を交換する

まずF(t,x)をxについて積分します。

∫R F(t,x)dx=∫R(∫R P(t,x-y)f(y)dy)dx

ここで、(1)で示したようにP(t,x-y)f(y)はyについて可積分であり、さらに熱核の性質から積分の交換が可能になります。そのため、フビニの定理またはトネリの定理を用いて積分の順番を入れ替えます。

したがって、

∫R F(t,x)dx=∫R f(y)(∫R P(t,x-y)dx)dy

となります。

熱核Pの積分値を求める

次に、内側の積分

∫R P(t,x-y)dx

を計算します。

x-y=uと置換すると、dx=duとなります。また、xが−∞から∞まで動くとき、uも−∞から∞まで動きます。

よって、

∫R P(t,x-y)dx=∫R P(t,u)du

になります。

ここでP(t,u)を代入すると、

∫R 1/√(4πt)e^(-u²/(4t))du

となります。

これは正規化されたガウス積分であり、値は1になります。

つまり、

∫R P(t,x-y)dx=1

です。

元の関数fの積分が残ることを確認する

以上より、先ほどの式は、

∫R F(t,x)dx=∫R f(y)×1dy

となります。

したがって、

∫R F(t,x)dx=∫R f(y)dy

が得られます。

積分変数の名前は自由なので、yをxに書き換えれば、

∫R F(t,x)dx=∫R f(x)dx

となり、求める結果が示されました。

この結果が意味すること

この性質は、熱方程式において重要な意味を持ちます。熱核P(t,x)は時間が経過したときの温度分布の広がりを表しますが、その総量は変化しません。

例えば、f(x)を初期時刻の温度分布と考えると、時間tが経過した後の分布F(t,x)は広がって平らになります。しかし、全体の熱量に相当する積分値は保存されます。

つまり、ガウス関数による平滑化を行っても、関数全体の面積は変わらないということです。

まとめ

F(t,x)=∫R P(t,x-y)f(y)dyについて、xに関する積分を考えると、フビニの定理によって積分順序を交換できます。

その後、熱核P(t,x)の積分が1になる性質を利用することで、

∫R F(t,x)dx=∫R f(x)dx

を示すことができます。

ポイントは、熱核が正規化されたガウス関数であり、その全体の積分が常に1であること、そして積分順序の交換が正当化できることです。

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