キオクシア BiCS FLASHの仕組みを解説|3次元NANDフラッシュメモリの積層構造とメモリセルの作り方

物理学

キオクシアのBiCS FLASHに代表される3次元フラッシュメモリは、NAND型フラッシュメモリを縦方向に積み重ねることで大容量化を実現した技術です。多数の層を積み上げる構造から、薄い電極板が何枚も重なっているように見えますが、実際のメモリセルがどのように形成されているのかは少し複雑です。この記事では、BiCS FLASHの積層構造、メモリホール、チャネル、電荷蓄積膜の役割、そして最新世代の層数について分かりやすく解説します。

BiCS FLASHとはどのような3次元フラッシュメモリなのか

BiCS FLASHは、キオクシア(旧東芝メモリ)が開発してきた3次元NANDフラッシュメモリの技術です。従来の2次元NANDでは、メモリセルを平面上に並べていましたが、微細化が進むにつれて限界が近づきました。

そこで3次元NANDでは、メモリセルを横方向だけではなく縦方向にも積み重ねます。これにより、1つのチップ内により多くの記憶領域を配置でき、大容量SSDやメモリーカードなどに利用されています。

BiCSという名称は「Bit Cost Scalable」の略で、ビット単価を下げながら大容量化することを目指した技術です。現在では数百層規模の積層構造が実用化され、フラッシュメモリの主流技術になっています。

積み重なっている薄い層は電極と絶縁膜の組み合わせなのか

BiCS FLASHの内部では、ワード線として機能する電極層と、それらを分離する絶縁層が交互に積み重なった構造になっています。

イメージとしては、金属製の薄い板と絶縁体の板を何百枚も交互に重ねた多層構造に近いものです。ただし、単純な金属板を積み重ねているわけではなく、半導体製造プロセスによって形成された非常に精密な薄膜構造です。

この積層された電極層の1枚1枚が、NANDフラッシュにおけるワード線として働きます。それぞれの層が異なる高さに配置されることで、縦方向に多数のメモリセルを作ることができます。

メモリホールとチャネルがメモリセルを形成する仕組み

積層した電極層を縦方向に貫くように開けられる穴が「メモリホール」です。この穴は、数百層の膜を一度に貫通する非常に高度な加工技術によって形成されます。

その穴の内部には、電荷を蓄えるための膜や半導体材料でできた柱状のチャネルが形成されます。このチャネルは、縦方向に伸びた電流の通り道になります。

ただし、「板状の電極と柱状の電極が交差した点が、そのまま独立したメモリセルになる」という理解は少し修正が必要です。実際には、チャネルを取り囲む各層のゲート電極部分が、それぞれ1つのメモリセルとして機能します。

例えば、1本の縦長のチャネルがある場合、その周囲にある1層目のゲート、2層目のゲート、3層目のゲートが、それぞれ別々の記憶場所になります。つまり、1本の柱の周囲に縦方向へ多数のメモリセルが並ぶ構造です。

3次元NANDではなぜ一括でメモリホールを開けるのか

3次元NANDの大きな特徴は、多数の層を積み重ねた後に縦穴を形成する工程です。この方法により、各層ごとに細かい加工を繰り返すよりも効率的に高密度化できます。

例えば、100層以上の構造を作る場合、各層を個別に加工する方法では製造工程が非常に複雑になります。一方で、積層後に深い穴を形成することで、多数のメモリセルを一度に作ることができます。

ただし、層数が増えるほど深い穴を高精度で形成する必要があり、加工技術の難易度は大きく上昇します。数百層規模の3次元NANDは、半導体製造技術の進歩によって可能になったものです。

BiCS FLASH第10世代の層数は332層なのか

3次元NANDの世代が進むにつれて積層数は増加しています。キオクシアとウエスタンデジタルは、BiCS FLASHの世代ごとに積層数を増やし、大容量化を進めてきました。

第10世代BiCS FLASHについては、技術世代や数え方によって表現が異なる場合がありますが、300層を超える積層技術が開発されています。332層という数字は、次世代の高層3次元NAND技術として紹介されることがある値です。

ただし、NANDフラッシュでは「層数」がそのまま記憶容量になるわけではありません。セルの配置方法、メモリセルの種類(SLC、MLC、TLC、QLCなど)、回路設計なども容量や性能に大きく影響します。

まとめ:BiCS FLASHは縦方向にメモリセルを積み上げる高度な半導体技術

BiCS FLASHでは、ワード線となる電極層と絶縁層を交互に積み重ね、その積層体を縦方向に貫くメモリホールを形成します。その内部にチャネルや電荷蓄積膜を作ることで、縦方向に多数のメモリセルを配置しています。

メモリセルは単純な「板と柱の交差点」ではなく、縦に伸びたチャネルと各階層のゲート電極によって形成される構造です。この独特な設計によって、現在のSSDや大容量メモリーカードに必要な高密度化が実現しています。

数百層にも達する3次元NAND技術は、半導体加工、薄膜形成、微細加工など多くの技術の組み合わせによって成立しており、BiCS FLASHはその代表的な技術の一つと言えます。

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