数学Bの「統計的な推測」では、確率変数の平均や標準偏差を求める問題が頻繁に出題されます。特に、硬貨を投げたときの得点のような問題では、平均は求められても標準偏差の考え方で迷う人が多くいます。
この記事では、硬貨の表裏によって得点が変化する問題を例に、期待値(平均)と標準偏差をどのように考えるのかを、途中式を含めてわかりやすく解説します。
得点を確率変数として考える
まず、1回の硬貨投げで得られる得点を確率変数Xとします。
| 結果 | 得点 | 確率 |
|---|---|---|
| 表 | 10点 | 1/2 |
| 裏 | -5点 | 1/2 |
このとき、1回あたりの得点Xは10点または-5点になる確率変数です。
20回繰り返した場合は、1回ごとの得点を合計した確率変数として考えます。
平均(期待値)の求め方
1回あたりの平均得点は、得られる値とその確率を掛け合わせて足します。
E(X)=10×(1/2)+(-5)×(1/2)
=5-2.5
=2.5
つまり、1回の試行では平均すると2.5点得られることになります。
これを20回行うため、20回分の平均得点は以下になります。
2.5×20=50
したがって、20回投げたときに得られる得点の平均は50点です。
質問の式では「(10-5)×(1/2)×20」と考えていますが、これは裏の得点がマイナスであることを正しく反映できていません。平均を求めるときは、それぞれの得点に確率を掛ける必要があります。
標準偏差を求めるために分散を考える
標準偏差を求めるには、まず分散を求めます。分散とは、データが平均からどれくらい散らばっているかを表す数値です。
1回の得点Xについて、分散は以下の式で求めます。
V(X)=E(X²)-{E(X)}²
まずX²の期待値を求めます。
E(X²)=10²×(1/2)+(-5)²×(1/2)
=100×(1/2)+25×(1/2)
=50+12.5
=62.5
そして、平均の2乗を引きます。
V(X)=62.5-2.5²
=62.5-6.25
=56.25
したがって、1回あたりの分散は56.25になります。
20回繰り返した場合の標準偏差
同じ試行を20回行う場合、分散は20倍になります。
20回分の分散は次のようになります。
56.25×20=1125
標準偏差は分散の平方根なので、
√1125=√(225×5)=15√5
となります。
したがって、20回繰り返したときの得点の標準偏差は15√5点です。
別の考え方:表が出る回数で考える方法
この問題は、表が出た回数を利用して考えることもできます。
20回中、表が出る回数をYとすると、Yは二項分布B(20,1/2)に従います。
表が出た場合は10点、裏の場合は-5点なので、表の回数がY回なら得点は、
10Y-5(20-Y)
=15Y-100
となります。
この式からも平均や標準偏差を求めることができます。二項分布の標準偏差を利用すると、得点の標準偏差が15√5になることが確認できます。
標準偏差問題で間違えやすいポイント
このタイプの問題では、「平均」と「標準偏差」を同じように考えてしまうことがよくあります。
平均はそれぞれの値を確率で重み付けして足すだけですが、標準偏差は平均からのズレの大きさを見るため、一度2乗して計算する必要があります。
また、20回分の計算では、平均は20倍しますが、標準偏差は単純に20倍しません。分散が20倍になるため、標準偏差は√20倍になります。
例えば、サイコロを何回も振った場合でも、回数を増やすほど結果のばらつきは大きくなりますが、標準偏差の増え方は回数に比例ではなく平方根に比例します。
まとめ|得点問題の標準偏差は1回分から考える
硬貨の得点問題では、まず1回の試行を確率変数として考えることが重要です。
今回の問題では、1回あたりの期待値は2.5点、分散は56.25となり、20回繰り返すことで平均は50点、標準偏差は15√5点になります。
標準偏差を求めるときは、平均を求める公式とは違い、「平均との差を2乗して平均する」という考え方が必要です。
確率変数の値・確率・分散の関係を理解すると、硬貨やサイコロなどの統計的な推測の問題を安定して解けるようになります。


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