エルミート多項式は確率論、量子力学、統計学などで広く利用される直交多項式です。特に重み関数e-x²/2に関する直交性は非常に重要であり、フーリエ解析や調和振動子の波動関数の計算にも登場します。本記事では、エルミート多項式の定義から出発し、積分∫-∞∞Hm(x)Hn(x)e-x²/2dxを求める方法を解説します。
エルミート多項式の定義
問題で与えられたエルミート多項式は次のロドリゲス型公式で定義されています。
Hn(x)=(-1)nex²/2(1/√(n!))dn/dxn(e-x²/2)
この定義は確率論でよく用いられる正規化エルミート多項式に対応しています。
エルミート多項式はn次多項式であり、重み関数e-x²/2に関して直交する性質を持っています。
求める積分
評価したい積分を
Imn=∫-∞∞Hm(x)Hn(x)e-x²/2dx
とおきます。
この積分はエルミート多項式同士の内積を表しています。
直交性が成り立つなら、異なる次数では0になるはずです。
m≠nの場合
Hn(x)の定義を代入すると
Imn=(-1)n/√(n!)∫-∞∞Hm(x)dn/dxn(e-x²/2)dx
となります。
ここでn回部分積分を行います。
e-x²/2は|x|→∞で指数関数的に0へ収束するため、境界項はすべて消えます。
すると
Imn=1/√(n!)∫-∞∞(dnHm/dxn)e-x²/2dx
が得られます。
m<nならHm(x)はm次多項式なのでn階微分は恒等的に0です。
したがって
m≠nなら Imn=0
となります。
m=nの場合
次にm=nとします。
同様の計算を行うと
Inn=1/n!∫-∞∞(dnHn/dxn)e-x²/2dx
が得られます。
この正規化ではエルミート多項式は直交規格化されており、最終的に内積はガウス積分に帰着します。
基本ガウス積分
∫-∞∞e-x²/2dx=√(2π)
を利用すると、同次数の場合の積分値は√(2π)となります。
直交規格化との関係
エルミート多項式には複数の定義があります。
物理学で用いられるエルミート多項式では係数が異なるため、内積に2nn!などの因子が現れます。
しかし問題文のように1/√(n!)で正規化された定義では、次数による係数が打ち消されます。
その結果、内積はクロネッカーのデルタのみを用いて簡潔に表現できます。
最終結果
| 条件 | 積分値 |
|---|---|
| m≠n | 0 |
| m=n | √(2π) |
したがって
∫-∞∞Hm(x)Hn(x)e-x²/2dx=√(2π)δmn
となります。
まとめ
エルミート多項式は重み関数e-x²/2に関して直交する代表的な直交多項式です。
ロドリゲスの公式と部分積分を用いることで、異なる次数では積分が0になることが示せます。
また問題文の正規化では、同じ次数同士の内積は√(2π)となります。したがって求める積分は、∫-∞∞Hm(x)Hn(x)e-x²/2dx=√(2π)δmnです。


コメント