高校物理の熱力学で、断熱容器に入った複数の気体が関わる問題では、通常は内部エネルギー保存を使って解きます。しかし、状態方程式や圧力・体積の関係だけからも解答の方向性を考えることができます。今回は、A、B、Cの3つの単原子理想気体が入った断熱容器の例で、n_cを求める方法を解説します。
問題の整理
条件を整理すると以下の通りです。
- AとBは断熱ピストンで隔てられている
- BとCはコックで仕切られ、開放後に混合が可能
- 初期状態:A,Bはn mol、温度T、体積V、Cはn_c mol、温度2T、体積V
- 最終状態:Aの圧力4p、体積V/2
ポイントは、内部エネルギー計算をせず、状態方程式PV=nRTを軸に考えることです。
ステップ1:Aの状態からB+Cの変化を推測
AとBは断熱ピストンで接しているため、Aが体積V/2、圧力4pになった時、Bの体積はV/2になります(断熱かつ摩擦なしなのでピストンは力学的平衡)。
理想気体の断熱変化ではPV^γ=定数が成立しますが、最終圧力と体積が与えられているため、Bの圧力もAと同じく4pになります。
ステップ2:Cとの混合後の圧力を考える
BとCはコックを開いた後、圧力が等しくなるまで混合します。混合後の圧力P_fはAとは独立に考えられますが、断熱で外部と仕事をしないため、B+C系の圧力は最終的にB+Cの体積V_B+V_Cに対応します。
ここでPV=nRTを使うと、圧力をp、体積をV、温度をTで表せば、B+C系の全モル数に対する温度条件と体積比からn_cを求めることが可能です。
ステップ3:状態方程式を使ったn_cの表現
混合後の圧力P_fを仮定すると。
P_f (V_B + V_C) = (n_B + n_c) R T_f
ここでBの最終体積V_B=V/2、Cの体積V_C=V、B+C混合後の温度T_fはエネルギー計算なしでは未知ですが、初期温度T_B=T、T_C=2Tなので加重平均としてT_fを仮定できます。
T_f ≈ (n_B T + n_c 2T)/(n_B + n_c) = (n + 2 n_c)/(n + n_c) T
さらにBの圧力はAと同じく4pとなるので、式を整理するとn_cをnで表すことができます。
4p (V_B + V_C) = (n + n_c) R T_f ⇒ 4p (3V/2) = (n + n_c) R [(n + 2 n_c)/(n + n_c) T] ⇒ 6pV = (n + 2 n_c) R T ⇒ n_c = (3n – n)/2 = n
まとめ
内部エネルギーを直接使わなくても、以下の手順でn_cを求めることができます。
- Aの最終圧力と体積からBの体積と圧力を推測
- B+Cの混合後の圧力平衡を仮定
- 加重平均でB+C混合後の温度を近似
- 状態方程式PV=nRTを用いてn_cを解く
この方法は、理論的には近似を伴いますが、内部エネルギー計算を避けたい場合の有力なアプローチです。


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