不定詞の形式主語構文(It is ~ to …)を教える際に、「to不定詞が主語だと長くなりすぎるので、itを仮の主語として前に置く」と説明されることがよくあります。実際、この説明は英語の語順感覚を理解するうえで非常に有効です。しかし、学習者のレベルや目的によっては、もう少し踏み込んだ説明を加えることで理解が深まる場合があります。
一般的な教え方は間違いではない
学校文法では、例えば次のような例文を使います。
To learn English is important.
It is important to learn English.
そして、「英語は長い主語を文頭に置くのをあまり好まないため、形式上の主語itを先に置き、本当の主語であるto不定詞を後ろへ移動する」と説明します。
これは実際の英語運用にも合致しており、多くの英文法書でも採用されている考え方です。
なぜ英語は長い主語を避けるのか
英語は結論を早く伝えたがる言語だと言われます。
例えば次の文を見てみましょう。
To finish this difficult project within three days is impossible.
主語が長いため、読者は動詞のisにたどり着くまで内容を把握しづらくなります。
そこで英語では次の形が好まれます。
It is impossible to finish this difficult project within three days.
先に「不可能だ」という評価を示し、その後で何が不可能なのかを説明するため、聞き手や読み手にとって理解しやすくなります。
意味の流れから教える方法
形式主語構文を単なる文法変形として教えるのではなく、「評価を先に言う表現」として説明する方法もあります。
例えば次のような文です。
| 形式主語構文 | 意味 |
|---|---|
| It is easy to understand. | 理解するのは簡単だ |
| It is difficult to answer. | 答えるのは難しい |
| It is important to study. | 勉強することは重要だ |
英語話者はまずeasy、difficult、importantなどの評価を伝え、その後で具体的な内容を補足する傾向があります。
この視点で教えると、学習者は「なぜわざわざitを使うのか」を感覚的に理解しやすくなります。
ネイティブ感覚に近い説明
上級者向けには、「形式主語構文の方が自然な英語であり、to不定詞主語の方がむしろ堅い表現になる」と教えることもできます。
例えば日常会話で次の文を聞くことはほとんどありません。
To drive in Tokyo is difficult.
実際には次のように表現されます。
It is difficult to drive in Tokyo.
つまり、学校文法では『変形前の文』としてto不定詞主語を学びますが、実際の英語では形式主語構文が基本形として使われるケースも多いのです。
教える際のおすすめの順序
初学者には次の順序が理解しやすいでしょう。
- to不定詞は主語になれる
- ただし主語が長いと英語は読みにくい
- そこでitを仮の主語として置く
- 本当の主語は後ろのto不定詞
- 英語ではこちらの形の方が一般的
この流れなら学校文法と実際の英語感覚の両方を説明できます。
まとめ
不定詞の形式主語構文は、「長い主語を避けるためにitを置く」という説明で基本的には問題ありません。ただし、それだけでは機械的な変形ルールとして覚えてしまう学習者もいます。より深い理解を目指すなら、「英語は評価や結論を先に言いたがる」「形式主語構文の方が自然な英語である」という観点も加えると、学習者は構文の目的や使われる理由まで理解しやすくなるでしょう。


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