薄肉アルミパイプの高精度旋削加工方法|内径基準で外径振れ0.05mmを実現する段取りの考え方

工学

アルミ製パイプ材に対して、内径を基準に外径振れ0.05mm以下を要求される加工は、旋盤加工の中でも段取りが品質を大きく左右する難易度の高い案件です。特に全長500mm、外径φ61、内径φ50という薄肉形状では、チャックによる変形や把握力の影響を考慮しなければなりません。本記事では、汎用旋盤とNC旋盤を保有している環境を想定し、精度確保のための加工手順と考え方を解説します。

図面要求から読み取るべきポイント

今回のワークでは内径両端30mm部分がφ55±0.01に加工され、その内径を基準として外径振れ0.05mm以内が要求されています。

つまり実質的には外径寸法よりも、内径基準に対する同軸度や振れ精度が重要な部品と考えられます。

項目 要求値
材質 アルミ
全長 500mm
外径 φ60±0.05
内径 両端30mmをφ55±0.01
外径振れ 内径基準で0.05mm以下

この条件では最終工程でどこを基準に把握するかが最も重要になります。

油圧チャックによる変形が問題になる理由

アルミパイプは肉厚が約5.5mmしかなく、油圧チャックの把握力によって真円度が変化することがあります。

加工中は真円でも、チャックから取り外した瞬間に弾性変形が戻り、振れや真円度不良が発生する場合があります。

特にφ55±0.01という高精度内径を基準とする場合、外径把握による変形は無視できません。

仕上げ工程では把握力を必要最小限にすることが重要です。

推奨される加工順序とは

実務的にはNC旋盤を利用して内径基準を先に完成させ、その後に内径基準で外径を仕上げる方法が有力です。

まず片側の内径φ55を加工し、反転して反対側も加工します。

両端の基準内径が完成した後、専用の内径マンドレルやエキスパンドマンドレルを使用して内径基準で保持します。

その状態で外径φ60を仕上げることで、図面要求に近い状態で同軸度管理が可能になります。

マンドレル加工が有効な理由

今回のような部品では外径把握よりも内径基準保持の方が合理的です。

エキスパンドマンドレルでφ55部分を軽く保持すると、チャック変形の影響を大幅に減らせます。

また両センター支持や振れ止めを併用すると、500mmという長尺ワークのたわみ対策にもなります。

精密部品メーカーでは同軸度要求が厳しいパイプ製品に対して、この方法が広く採用されています。

汎用旋盤だけで対応する場合の考え方

保有している汎用旋盤で主軸貫通穴がφ50までの場合、今回の材料をそのまま通すことは難しくなります。

そのためチャック把握とセンター支持を組み合わせる方法になりますが、段取り替えによる芯ズレ管理が難しくなります。

外径振れ0.05mmという要求を考えると、汎用旋盤単独よりNC旋盤+マンドレルの方が現実的です。

特に量産でなく単品加工であっても、精度面では治具製作のメリットが大きい案件と言えるでしょう。

加工時に注意したいポイント

高精度加工では段取りだけでなく測定方法も重要です。

  • 内径φ55は三点マイクロメータで測定する
  • 把握圧を最小限に調整する
  • 仕上げ代を均一に残す
  • 長尺のため振れ止めを活用する
  • 最終検査は内径基準でダイヤルゲージ測定する

特にアルミは熱膨張の影響を受けやすいため、加工直後ではなく温度安定後に最終測定することも有効です。

まとめ

外径φ61、内径φ50のアルミパイプに対して、両端内径φ55±0.01を基準に外径振れ0.05mmを求める場合は、まず内径基準を完成させ、その後マンドレル保持で外径を仕上げる方法が最も安定します。油圧チャックによる変形リスクを避けながら同軸度を確保できるためです。汎用旋盤のみでの対応は可能ではあるものの、精度要求を考慮するとNC旋盤と専用治具を組み合わせた段取りが現実的な選択肢になるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました