大規模な工場や事業所では、敷地条件や建物配置の関係から、1基の大型浄化槽ではなく複数の浄化槽で排水処理を行うケースがあります。その際によく検討されるのが、人槽をどのように各浄化槽へ配分するかという問題です。本記事では、複数浄化槽による計画の考え方や、人槽案分の一般的な手法について解説します。
複数の浄化槽による計画は成立するのか
工場や事業所の規模が大きい場合、建物ごとや排水系統ごとに浄化槽を分散配置する計画は珍しくありません。
実際には、全体の必要人槽を算定したうえで、それぞれの排水系統に応じて適切に人槽を配分する考え方が採用されることがあります。
ただし、浄化槽法や自治体の運用基準、建築確認時の審査方針によって取り扱いが異なる場合があるため、最終的には所管行政庁や指定確認検査機関との協議が重要です。
人槽案分の基本的な考え方
人槽とは、単純な従業員数ではなく、施設の利用状況や排水量を基準として決定されます。
そのため複数の浄化槽へ分割する場合も、実際に各系統へ流入する排水負荷を考慮する必要があります。
一般的には接続される衛生器具数や排水負荷単位を基礎として案分を行う考え方が広く用いられています。
排水負荷単位による案分の具体例
例えば工場敷地内に管理棟と製造棟があり、それぞれ別の浄化槽へ接続するケースを考えます。
| 建物 | 便器・洗面器等の負荷割合 | 配分例 |
|---|---|---|
| 管理棟 | 40% | 全体人槽の40% |
| 製造棟 | 60% | 全体人槽の60% |
このように排水負荷単位や想定使用人数、衛生器具数などから各系統の負荷割合を算出し、それに応じて人槽を割り振る方法が一般的です。
ただし実際にはピーク時使用状況や男女比、勤務形態なども考慮される場合があります。
単純な器具数だけでは不十分な場合もある
衛生器具数は有効な指標ですが、それだけで人槽を決定できるとは限りません。
例えば同じ便器数でも利用頻度が大きく異なる施設では、実際の排水量や汚濁負荷に差が生じます。
また社員食堂やシャワー室、休憩室など特殊な排水設備がある場合には、追加の負荷を見込む必要があります。
工場特有の注意点
工場では生活排水と事業排水を明確に区分することが重要です。
浄化槽は原則としてし尿や生活雑排水の処理を目的としているため、製造工程から発生する特殊排水をそのまま流入させられない場合があります。
油分や薬品を含む排水がある場合は、除害施設や別系統の処理設備が必要になるケースもあります。
計画時に確認すべきポイント
- 所管行政庁の浄化槽設置基準
- 建築用途ごとの人槽算定基準
- 各建物の排水負荷単位
- 将来の増員計画や増築計画
- 生活排水と事業排水の区分
これらを事前に整理しておくことで、設計変更や審査時の指摘を減らしやすくなります。
まとめ
大規模工場を複数の浄化槽でカバーする考え方自体は一般的に成立しますが、単純に総人槽を均等分割するのではなく、各排水系統の負荷に応じた人槽案分が必要です。
案分方法としては衛生器具数や排水負荷単位を基礎とする考え方が有力ですが、実際には利用実態や排水量、行政指導なども考慮しなければなりません。計画段階で所管部署や浄化槽メーカーと十分に協議することが重要です。


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