非アルキメデス距離とは?なぜ『アルキメデス距離』という言葉はあまり使われないのか

中学数学

数学を学んでいると「非アルキメデス距離(non-Archimedean metric)」という用語に出会うことがあります。しかし、その対になるはずの「アルキメデス距離」という言葉はあまり見かけません。なぜこのような違いがあるのでしょうか。この記事では、非アルキメデス距離の意味と、「アルキメデス距離」という言葉がほとんど使われない理由を解説します。

非アルキメデス距離とは何か

通常の距離は三角不等式を満たします。

d(x,z)≦d(x,y)+d(y,z)

一方、非アルキメデス距離はさらに強い条件である「強三角不等式」を満たします。

d(x,z)≦max{d(x,y),d(y,z)}

この性質を持つ距離を非アルキメデス距離または超距離(ultrametric)と呼びます。

なぜ『非アルキメデス』という名前なのか

「アルキメデス的(Archimedean)」という言葉は、古代ギリシャの数学者アルキメデスに由来する数学用語です。

実数の世界では、どんな大きな数でも十分な回数足し合わせればそれを超えることができます。これをアルキメデス性と呼びます。

ところがp進数などの世界では、この性質が成り立ちません。そのため、それらの構造に基づく距離は「非アルキメデス的」と呼ばれるようになりました。

『アルキメデス距離』という言葉は存在するのか

結論から言うと、「アルキメデス距離」という言葉が全く存在しないわけではありません。

数学の専門書や論文では、非アルキメデス距離との対比として「アルキメデス距離(Archimedean metric)」という表現が使われることがあります。

ただし、通常の距離空間論では単に「距離(metric)」と言えば十分であるため、わざわざ「アルキメデス距離」と呼ぶ必要がほとんどありません。

なぜ非アルキメデス距離だけが有名なのか

通常の距離は数学の標準的な対象です。

例えばユークリッド距離やマンハッタン距離などは、特に断らなくても一般的な距離として扱われます。

しかし非アルキメデス距離は特殊な性質を持つため、通常の距離と区別する必要があります。その結果、「非アルキメデス」という名称だけが頻繁に使われるようになりました。

種類 特徴
通常の距離 三角不等式を満たす
非アルキメデス距離 強三角不等式を満たす

日常的な例で考えると

例えば「非喫煙者」という言葉はよく使われますが、「喫煙者でない普通の人」をわざわざ特別な名前で呼ばない場合があります。

数学でも同様に、標準的な距離は単に「距離」と呼び、特殊な性質を持つ場合だけ「非アルキメデス距離」という名前を付けて区別しています。

そのため、非アルキメデス距離という用語はよく見かけても、アルキメデス距離という用語はあまり登場しないのです。

まとめ

非アルキメデス距離という用語が存在する一方で、アルキメデス距離という言葉は数学で全く使われないわけではありません。しかし通常の距離は標準的な対象であるため、単に「距離」と呼ばれることがほとんどです。

その結果、特殊な性質を持つ距離を区別するための「非アルキメデス距離」という名称だけが目立つようになりました。数学ではこのように、標準的な概念には特別な名前を付けず、例外的な構造に名前を付けることがよくあります。

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