PIC16F1824をMPLAB PM3でプログラムする際、単体では正常に書き込めるにもかかわらず、基板実装後にプログラマが故障したという報告は珍しくありません。特にVddラインに大容量コンデンサが接続されている場合や、ターゲット基板側の電源回路との組み合わせによっては、プログラマに想定以上の負荷がかかることがあります。この記事では、MPLAB PM3と大容量コンデンサを含む回路との関係や、故障の可能性について解説します。
Vddに1500μFがあると何が起こるのか
1500μFという容量は、マイコンのデカップリング用途としてはかなり大きな部類です。プログラマがターゲットへ電源供給を開始した瞬間、このコンデンサはほぼ短絡状態として振る舞い、大きな突入電流が流れます。
例えば5Vを印加した場合、コンデンサが充電されるまでの短時間に非常に大きな電流が要求されます。理論上は配線抵抗や内部抵抗によって制限されますが、それでもプログラマ側の電源回路に大きな負担を与える可能性があります。
大容量コンデンサは定常時の消費電流には影響しなくても、電源投入時の突入電流には大きく影響します。
MPLAB PM3には保護回路があるのか
MPLAB PM3には過電流保護や異常検出機能が実装されています。しかし、保護回路が存在することと、絶対に故障しないことは同義ではありません。
保護回路は一定条件下で出力停止やエラー検出を行いますが、繰り返し過負荷状態が発生した場合や、保護回路の想定外の条件では内部部品が損傷する可能性があります。
また、製品によっては短絡保護があっても、大容量コンデンサへの充電電流までは十分に想定されていない場合があります。
実際に故障原因となるケース
故障原因は1500μFだけとは限りません。実際には以下のような要因が複合して発生することがあります。
| 原因候補 | 内容 |
|---|---|
| 大容量コンデンサ | 突入電流による電源回路への負荷 |
| 逆流電流 | 基板側電源回路からプログラマへ電流が流れる |
| 配線ミス | ICSP端子の接続間違い |
| 外部電源との競合 | ターゲット電源とプログラマ電源の干渉 |
| MCLR回路の問題 | Vpp印加時の異常負荷 |
特に基板側にレギュレータやDC-DCコンバータ、大型電解コンデンサがある場合は注意が必要です。
安全に書き込みを行うための対策
まず確認したいのは、ターゲット基板への電源供給をPM3から行っているかどうかです。
もし可能であれば、基板側で安定した外部電源を供給し、PM3はプログラム信号のみを扱う構成の方が安全です。
- Vddの大容量コンデンサを一時的に切り離す
- 書き込み専用ジャンパを設ける
- ターゲット側で外部電源を使用する
- ICSP回路をMicrochip推奨回路に合わせる
- Vpp・Vdd・PGC・PGD配線を再確認する
量産基板では、プログラミング時だけ大容量負荷を切り離せる設計が採用されることもあります。
故障したように見えて実は保護動作の場合もある
MPLAB PM3が認識しなくなった場合でも、必ずしもハードウェア故障とは限りません。
内部ヒューズや保護回路が動作しているケース、ファームウェアの異常状態になっているケースもあります。
別のターゲットで動作確認したり、PM3の自己診断機能を実行したりすることで、本当に故障しているかを切り分けられます。
まとめ
PIC16F1824を基板上で書き込む際、Vddに接続された1500μFのコンデンサは突入電流の原因となり、MPLAB PM3へ大きな負荷を与える可能性があります。
ただし、実際の故障原因はコンデンサ単独ではなく、外部電源との競合や逆流電流、配線ミスなど複数の要因が関係していることが少なくありません。
安全に運用するためには、ターゲット側で電源を供給する構成や、プログラミング時に大容量負荷を切り離せる設計を検討し、ICSP回路を推奨構成に合わせることが重要です。


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