三菱 瑞星エンジンのバルブ挟み角とは?航空発動機の設計思想と特徴を解説

工学

旧日本海軍や陸軍の航空機に搭載された三菱の空冷複列星型エンジン「瑞星(ずいせい)」は、コンパクトな外径と高出力を両立した名発動機として知られています。その設計を調べる中で「バルブ挟み角(弁挟み角)」が気になる人も少なくありません。本記事では瑞星エンジンのバルブ挟み角と、その数値が採用された理由について解説します。

瑞星エンジンのバルブ挟み角は120度

三菱の瑞星エンジンに採用された吸気弁と排気弁の挟み角は約120度とされています。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

一般的な自動車用エンジンと比較するとかなり大きな角度であり、航空用空冷星型エンジン特有の設計思想が反映されています。

瑞星の120度という広い弁挟み角は、空冷性能や燃焼室形状、エンジン前面投影面積の最適化を考慮した結果と考えられています。

そもそもバルブ挟み角とは何か

バルブ挟み角とは、吸気弁と排気弁の中心線同士が作る角度のことです。

エンジン設計では燃焼効率や吸排気効率、燃焼室の形状に大きな影響を与える重要な要素です。

挟み角が小さい場合 挟み角が大きい場合
燃焼室をコンパクト化しやすい 吸排気ポートを取りやすい
高圧縮比に有利 大径バルブを配置しやすい
燃焼効率向上 冷却性や流量確保に有利

航空エンジンでは単純に高出力だけでなく、冷却や重量、空気抵抗とのバランスも重要になります。

なぜ瑞星は120度という大きな角度だったのか

瑞星は空冷複列星型14気筒エンジンとして開発されました。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

空冷エンジンではシリンダー周辺に効率よく冷却風を当てる必要があります。また、吸排気ポートの配置にも制約があります。

そのため、吸気弁と排気弁を大きく開いて配置することで、吸排気流路を確保しつつ冷却性も向上させる設計が採用されました。

さらに、当時の航空機ではエンジン前面の直径を小さくして空気抵抗を減らすことも重要な課題でした。120度という広い弁配置は、そのような設計要求とも関係しています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

瑞星エンジンの基本スペック

瑞星は三菱重工業が開発した航空機用空冷複列星型14気筒エンジンです。:contentReference[oaicite:3]{index=3}

項目 内容
形式 空冷複列星型14気筒
排気量 約28L
外径 約1118mm
最大出力 850〜1080馬力級
搭載機 九七式司令部偵察機、十二試艦戦など

零戦試作機にも一時期搭載されていたことで知られています。:contentReference[oaicite:4]{index=4}

他の航空エンジンとの比較

航空機用発動機では、時代やメーカーによって弁挟み角が大きく異なります。

液冷V型エンジンでは40〜60度程度の比較的小さな挟み角が採用される例もありますが、空冷星型エンジンでは冷却やポート配置の都合から大きな角度が使われることがあります。:contentReference[oaicite:5]{index=5}

そのため瑞星の120度は航空用空冷星型エンジンとしては設計思想上の合理性を持った数値といえます。

まとめ

三菱の瑞星エンジンのバルブ挟み角は約120度とされています。:contentReference[oaicite:6]{index=6}

この広い角度は、空冷性能の確保、吸排気効率の向上、エンジン前面形状の最適化など航空発動機特有の要求から採用された設計と考えられています。

瑞星は小型・高出力を実現した三菱の代表的な航空エンジンであり、その設計には当時の航空技術者たちの工夫が数多く盛り込まれていました。

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