与謝野晶子の短歌における「重」の文法解説

文学、古典

与謝野晶子の短歌「この国と飛騨のさかひに山もも重(へ)かさなるものを日の歩み入る」に出てくる「重」という語の文法構造について解説します。この短歌では、自然の景観を描写する中で、古典的表現が使用されています。

「重」の意味と用法

ここでの「重」は動詞「重なる」の連用形「重(へ)」として使われています。「重なる」は「重なって重層的になる」「層を成す」という意味で、対象となる「山もも」が重なっている状態を表現しています。

文法構造の分析

短歌の該当部分を分解すると以下のようになります。

  • 山もも重(へ)かさなるものを

・「山もも」:名詞、主題

・「重(へ)」:動詞「重なる」の連用形で、次の動詞「かさなる」と連結する役割

・「かさなるものを」:動詞「かさなる」の連体形+名詞化、「重なったもの」という意味

まとめると、「重(へ)かさなる」は「層を成して重なる」という動作を二重に表現する連鎖動詞的表現であり、叙景の深みを出すための文法的工夫です。

短歌表現としての意図

晶子は「重(へ)かさなる」と二段階で重なりを表現することで、山ももの量感や奥行きを強調しています。連用形「重(へ)」は古典的な響きを持ち、短歌独特のリズムを形成する役割もあります。

まとめ

この短歌における「重」は動詞「重なる」の連用形であり、次の「かさなる」と結びつくことで、「山ももが重なっている」状態を表現しています。文法的には二重の連用動詞的構造で、叙景効果を高めるための文学的表現です。

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