双曲線関数の逆関数を学び始めると、sinh⁻¹x=ln(x+√(x²+1))という公式の証明で「なぜxとyを入れ替えてよいのか」「入れ替えた後のyがなぜsinh⁻¹xになるのか」で戸惑うことがあります。この記事では、公式の証明だけでなく、逆関数の考え方そのものを丁寧に解説します。
sinh⁻¹xの公式を導く基本手順
まず、y=sinhxと置きます。
双曲線正弦関数の定義より
sinhx=(e^x-e^-x)/2
ですから、y=(e^x-e^-x)/2となります。
両辺を2倍して整理すると
2y=e^x-e^-x
となります。
ここでt=e^xとおくと、e^-x=1/tなので
2y=t-1/t
です。
両辺にtを掛けると
t²-2yt-1=0
となり、二次方程式を解くと
t=y±√(y²+1)
を得ます。
t=e^xは常に正なので
t=y+√(y²+1)
を採用します。
したがって
x=ln(y+√(y²+1))
となります。
なぜxとyを入れ替えてよいのか
ここで重要なのが逆関数の考え方です。
y=sinhxという式は、「xを入力するとyが決まる関数」を表しています。
一方で、求めたいsinh⁻¹はその逆関数です。つまり「yから元のxを求める関数」です。
逆関数では、入力と出力の役割が入れ替わります。
| 元の関数 | 逆関数 |
|---|---|
| y=sinhx | x=sinh⁻¹y |
したがって、先ほど導いた
x=ln(y+√(y²+1))
は、そのまま
sinh⁻¹y=ln(y+√(y²+1))
と読み替えることができます。
文字の入れ替えは単なる名前の変更
数学では変数記号は単なる名前です。
例えば
y=2x+1
という式があったとしても、
v=2u+1
と書き換えても意味は変わりません。
同様に
sinh⁻¹y=ln(y+√(y²+1))
の変数yをxという名前に変更すると
sinh⁻¹x=ln(x+√(x²+1))
になります。
これは文字の名称を変えただけであり、関数そのものは変わっていません。
逆関数のグラフで考えると理解しやすい
逆関数を理解するコツはグラフです。
関数y=sinhxと逆関数y=sinh⁻¹xのグラフは、直線y=xに関して対称になります。
この対称移動によって、元の関数のx座標とy座標が入れ替わります。
つまり、逆関数では「入力と出力の交換」が本質です。
式中のxとyを入れ替える操作は、この対称性を代数的に表現しているだけなのです。
よくある誤解
初心者がよく抱く疑問に「勝手にxとyを交換してよいのか」というものがあります。
実際には、交換しているのではなく、逆関数を表現した結果として入力と出力の役割が入れ替わっています。
その後、変数名を見やすくするためにxへ統一しているだけです。
したがって、証明の本質は文字の交換ではなく、「xをyで表した式が逆関数そのものになっている」という点にあります。
まとめ
y=sinhxから計算すると、x=ln(y+√(y²+1))が得られます。
この式は逆関数の定義により、sinh⁻¹y=ln(y+√(y²+1))を意味します。
さらに変数名yを一般的なxへ変更することで、最終的に
sinh⁻¹x=ln(x+√(x²+1))
が得られます。
つまり、xとyを入れ替えているように見える操作は、逆関数の入力と出力の役割の交換と、変数名の変更によるものであり、数学的に正当な手順です。


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