函数論や複素解析では、「単位円を単位円へ写す一次変換(メビウス変換)」が非常に重要なテーマとして登場します。特に、単位円内部を保ちながら、指定した点を原点へ移す変換は、自動同型写像(automorphism)の代表例です。
この記事では、「|z|<1 を |w|<1 に写し、z=α(|α|<1)を w=0 に送る一次変換」の一般形について、途中の考え方も含めてわかりやすく整理します。
単位円を保つ一次変換とは
複素平面における一次変換(メビウス変換)は、一般に
w=(az+b)/(cz+d)
の形で表されます。
このうち、単位円内部 |z|<1 を再び単位円内部 |w|<1 に写す変換は、特別な形を持っています。
それが、ディスク自己同型と呼ばれる変換です。
z=α を w=0 に送る条件
問題では、
z=α を w=0 に写す
という条件があります。
つまり、変換式に z=α を代入すると 0 になればよいので、分子が
z-α
を因数に持つ必要があります。
したがって基本形は
w=C(z-α)/(1-ᾱz)
となります。
ここで ᾱ は α の複素共役です。
なぜ分母が 1-ᾱz になるのか
単位円を単位円へ写すためには、境界 |z|=1 が再び |w|=1 に写る必要があります。
この条件を満たすために、メビウス変換は
(z-α)/(1-ᾱz)
という特殊な形になります。
実際に |z|=1 を使うと、
|z-α|=|1-ᾱz|
が成り立つため、
|w|=1
となります。
つまり、単位円周が単位円周へ写ります。
定数Cの条件
複素定数 C は回転を表します。
単位円を保つためには、
|C|=1
でなければなりません。
このような複素数は
C=e^{iθ}
と書けます。
したがって一般形は、
w=e^{iθ}(z-α)/(1-ᾱz)
となります。
この変換の幾何学的意味
この写像は、「単位円内部を壊さずに α を原点へ移動する変換」です。
さらに e^{iθ} の部分は、単位円全体を回転させています。
つまり、
- z-α :点αを基準に移動
- 1-ᾱz :単位円構造を保つ補正
- e^{iθ} :回転
という役割があります。
具体例で確認する
例えば α=1/2、θ=0 の場合、
w=(z-1/2)/(1-z/2)
となります。
z=1/2 を代入すると、
w=0
になります。
また、|z|<1 の点はすべて |w|<1 に写されます。
この変換はポアンカレ円板モデルなどでも重要な役割を持っています。
なぜ函数論で重要なのか
この変換は、リーマン写像定理やシュワルツの補題など、多くの重要定理で使われます。
特に、「任意の点を原点へ移す」ことで問題を簡単化できるため、複素解析では頻出です。
また、双曲幾何学や保型関数論でも基本的な道具として登場します。
まとめ
単位円内部 |z|<1 を単位円内部 |w|<1 に写し、z=α(|α|<1)を w=0 に送る一次変換の一般形は、
w=e^{iθ}(z-α)/(1-ᾱz)
(|e^{iθ}|=1)
です。
この変換は単位円の自己同型写像と呼ばれ、函数論・複素解析・双曲幾何などで非常に重要な役割を果たします。
特に「なぜ分母に共役が現れるのか」を理解すると、単位円保存の構造が見えてきます。


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