函数論や複素解析では、「円を円に写す1次変換(メビウス変換)」を求める問題が頻出です。
特に、2つの円を同心円へ写す問題では、円の共有点や内部構造をどう扱うかが重要になります。
この記事では、
\[C_1:|z|=1,\quad C_2:|z-\frac14|=\frac14\]
を、
\[\Gamma_1:|w|=1,\quad \Gamma_2:|w|=R\ (R<1)\]
という同心円へ写す1次変換
\[w=T(z)\]
を求める方法を、図形的意味も含めて分かりやすく解説します。
まず2つの円の関係を確認する
最初に与えられた円を見ます。
\[C_1:|z|=1\]
は原点中心・半径1の円です。
一方、
\[C_2:|z-\frac14|=\frac14\]
は中心が \(\frac14\)、半径が \(\frac14\) の円です。
この円は実軸上にあり、
\[|0-\frac14|=\frac14\]
より、原点を通っています。
つまり2つの円は、
共通点 \(z=0\) を持つ接する円
です。
さらに、\(C_2\) は \(C_1\) の内部にあります。
共通点を無限遠へ送るのが基本戦略
メビウス変換では、2円が接している場合、接点を無限遠へ送ると直線に変換されます。
今回は共通点が \(z=0\) なので、
\[w=\frac1z\]
を考えるのが自然です。
この変換では、
\[z=0\mapsto \infty\]
となります。
すると、原点を通る円は直線へ写ります。
円 \(|z|=1\) の像を求める
\(|z|=1\) 上では
\[z\bar z=1\]
です。
\(w=1/z\) とすると、
\[z=\frac1w\]
なので、
\[\left|\frac1w\right|=1\]
より、
\[|w|=1\]
となります。
つまり \(C_1\) は再び単位円へ写ります。
円 \(|z-1/4|=1/4\) の像
次に
\[\left|z-\frac14\right|=\frac14\]
へ
\[z=\frac1w\]
を代入します。
すると、
\[\left|\frac1w-\frac14\right|=\frac14\]
となります。
両辺を4倍すると、
\[\left|\frac4w-1\right|=1\]
さらに \(|w|\) を掛けると、
\[|4-w|=|w|\]
となります。
これは「点4と原点から等距離」の集合です。
したがって、像は垂直線
\[\Re(w)=2\]
になります。
同心円へ変換する
ここまでで、
- \(|z|=1\) → \(|w|=1\)
- \(|z-1/4|=1/4\) → \(\Re(w)=2\)
となりました。
つまり、「単位円」と「その外側の直線」が得られています。
ここからさらに、単位円を保ちながら直線を中心円へ送る変換を使います。
単位円を保つ代表的変換は
\[\zeta=\frac{w-a}{1-\bar aw}\]
です。
今回は実数 \(a\) を使えば十分です。
適切な変換を選ぶ
直線 \(\Re(w)=2\) を円 \(|\zeta|=R\) に写したいので、
\[\zeta=\frac{w-\frac12}{1-\frac12w}\]
を使います。
この変換は単位円を保ちます。
さらに、\(\Re(w)=2\) 上で計算すると、\(|\zeta|\) は一定になります。
実際に \(w=2+iy\) を代入すると、
\[\zeta=\frac{\frac32+iy}{-iy}\]
となり、整理すると絶対値一定になります。
結果として、同心円へ写されます。
最終的な1次変換
したがって、求める変換の一例は
\[w=T(z)=\frac{\frac1z-\frac12}{1-\frac1{2z}}\]
です。
分母分子に \(2z\) を掛けると、
\[T(z)=\frac{2-z}{2z-1}\]
となります。
これが求める1次変換です。
なぜ同心円になるのか
メビウス変換は、
- 円を円または直線へ写す
- 角度を保存する
- 接する円を接する図形へ写す
という性質があります。
今回の問題では、
「共通点を無限遠へ飛ばして直線化する」
という操作が核心です。
そこから、単位円を保つ変換を組み合わせることで、同心円へ持ち込めます。
まとめ
与えられた円
\[|z|=1,\quad |z-\frac14|=\frac14\]
を同心円へ写すには、まず共有点 \(z=0\) を無限遠へ送るのがポイントです。
その後、単位円を保つメビウス変換を組み合わせることで、最終的に同心円へ変換できます。
求める変換の一例は
\[T(z)=\frac{2-z}{2z-1}\]
です。
函数論では、このように「円の接点」「無限遠」「単位円保存変換」を組み合わせて考えることが非常に重要になります。


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