基礎マクロ経済学では、「国民所得統計」と「フィッシャー方程式」が頻出テーマです。しかし、式の意味を理解しないまま暗記してしまうと、数字が少し変わっただけで解けなくなることがあります。この記事では、固定資本減耗の求め方と、フィッシャー方程式・近似式の違いについて、できるだけ直感的に整理します。
固定資本減耗とは何か
まず、固定資本減耗とは、簡単に言えば「機械や設備の老朽化による価値の減少」です。
マクロ経済学では、
国民総生産(GNP)-固定資本減耗=国民純生産(NNP)
という関係があります。
つまり、「純」という言葉が付いている場合は、設備の摩耗分を差し引いた後の値だと考えると理解しやすいです。
問題①の解き方
与えられている条件は以下です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 消費 | 20 |
| 政府支出 | 10 |
| 貿易収支 | -10 |
| 国民純生産 | 10 |
| 所得収支 | -10 |
| 国民貯蓄 | -10 |
まず支出面からGDPを求めます。
マクロ経済の基本式は、
GDP=消費+投資+政府支出+純輸出
です。
ここで純輸出=貿易収支なので、
GDP=20+投資+10-10
GDP=20+投資
次に、国民貯蓄の式を利用します。
開放経済では、
国民貯蓄=投資+経常収支
所得収支-10、貿易収支-10なので、経常収支は
-10+-10=-20
したがって、
-10=投資-20
より、投資=10
これをGDP式へ代入すると、
GDP=20+10=30
さらに、国民純生産(NNP)が10なので、
NNP=GNP-固定資本減耗
ここでは簡略的にGDP≒GNPとして扱うと、
10=30-固定資本減耗
したがって、
固定資本減耗=20
フィッシャー方程式とは
フィッシャー方程式は、「名目利子率」「実質利子率」「インフレ率」の関係を表す式です。
正式なフィッシャー方程式は、
(1+i)=(1+r)(1+π)
です。
ここで、
- i:名目利子率
- r:実質利子率
- π:インフレ率
を表します。
問題では、
- 名目利子率5%
- インフレ率10%
です。
問題②aの解き方|正式なフィッシャー方程式
式に代入すると、
(1+0.05)=(1+r)(1+0.10)
1.05=1.10(1+r)
1+r=1.05÷1.10
1+r≒0.9545
r≒-0.0455
つまり、
実質利子率は約-5%
となります。
小数点以下を四捨五入すると、答えは-5%です。
問題②b|近似版フィッシャー方程式
近似版では、
実質利子率≒名目利子率-インフレ率
を使います。
したがって、
5%-10%=-5%
答えは、
-5%
になります。
問題②c|近似式がズレやすい条件
近似版フィッシャー方程式は、インフレ率や利子率が小さいときに精度が高くなります。
逆に、値が大きくなるほど、正式な式との差が大きくなります。
したがって、問題文の選択肢では、
「1.大きい」
が正解です。
例えば、名目利子率50%、インフレ率40%などになると、単純な引き算ではかなり誤差が出ます。
なぜ近似式が使われるのか
経済学では、厳密計算よりも「直感的理解」が重要な場面も多いため、近似式がよく使われます。
特に試験やマクロ分析では、
- インフレ率が低い
- 利子率も低い
- 大まかな傾向を知りたい
という状況が多いため、
実質利子率≒名目利子率-インフレ率
という近似が便利になります。
まとめ
固定資本減耗は、「総」から「純」に変換するときに差し引かれる設備の摩耗分を意味します。今回の問題では固定資本減耗は20でした。
また、フィッシャー方程式では、正式版と近似版の違いを理解することが重要です。
正式版では掛け算で関係を表し、近似版では単純な引き算で近似します。
そして、インフレ率や利子率が大きくなるほど、近似式はズレやすくなる、という点も重要なポイントです。


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