線形代数では、「斉次連立一次方程式が非自明な解を持つ条件」を求める問題が頻出です。
特に大学の線形代数では、行列式(determinant)を利用して判定する問題が多く登場します。
この記事では、次の斉次連立一次方程式を例に、非自明な解を持つ条件を計算過程付きでわかりやすく解説します。
x-ay+z=0
x+y-az=0
-ax+y+z=0
「なぜ行列式を0にするのか」まで含めて丁寧に説明します。
斉次連立一次方程式とは?
まず、「斉次連立一次方程式」とは、右辺がすべて0になっている連立方程式のことです。
今回の問題も、
x-ay+z=0
x+y-az=0
-ax+y+z=0
のように、右辺がすべて0になっています。
このような方程式では、必ず
(x,y,z)=(0,0,0)
という解を持ちます。
これを自明解と呼びます。
一方で、それ以外の解が存在するとき、「非自明な解を持つ」と言います。
非自明な解を持つ条件
斉次連立一次方程式が非自明な解を持つ条件は、係数行列の行列式が0になることです。
つまり、
|A|=0
を満たせばよいということになります。
今回の係数行列は、
| 1 | -a | 1 |
| 1 | 1 | -a |
| -a | 1 | 1 |
です。
したがって、この行列式を計算します。
行列式を計算する
行列式を1行目で展開します。
detA=
1×|1 -a;1 1|
-(-a)×|1 -a;-a 1|
+1×|1 1;-a 1|
それぞれ計算すると、
1×(1×1-(-a)×1)
+a×(1×1-(-a)(-a))
+1×(1×1-1×(-a))
になります。
整理すると、
(1+a)+a(1-a²)+(1+a)
です。
さらに計算すると、
2+2a+a-a³
=2+3a-a³
となります。
したがって、
2+3a-a³=0
を解けばよいことになります。
方程式を因数分解する
次に、
a³-3a-2=0
と変形します。
整数解を探すと、a=2を代入したとき、
8-6-2=0
となるので、a=2が解です。
したがって、
(a-2)
で割ると、
a³-3a-2=(a-2)(a²+2a+1)
となります。
さらに、
a²+2a+1=(a+1)²
なので、
(a-2)(a+1)²=0
です。
求めるaの値
したがって、この斉次連立一次方程式が非自明な解を持つ条件は、
- a=2
- a=-1
です。
つまり、
a=2 または a=-1
のときに非自明な解が存在します。
なぜ行列式が0だと非自明解が存在するのか
ここで、「なぜ行列式を0にするの?」と疑問に思う人も多いです。
これは、行列式が0でない場合、逆行列が存在するからです。
逆行列が存在すると、
AX=0
に対して両辺にA⁻¹を掛けられるため、
X=0
しか解がありません。
つまり自明解だけになります。
逆に、行列式が0だと逆行列が存在せず、0以外の解が現れる可能性が出てきます。
これが「非自明解を持つ条件=行列式0」の理由です。
まとめ
斉次連立一次方程式が非自明な解を持つためには、係数行列の行列式が0である必要があります。
今回の問題では、行列式を計算すると、
2+3a-a³=0
となり、因数分解すると、
(a-2)(a+1)²=0
です。
したがって求める値は、
- a=2
- a=-1
となります。
線形代数では、「非自明解 ↔ 行列式0」という対応は非常に重要なので、ぜひ覚えておきたい基本事項です。


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